[ 80年代バックパッカーの風景]
鉄道旅行の愉しみ
(その3) THOMAS COOK の時刻表
ヨーロッパを鉄道旅行する日本人バックパッカーが皆持っていた
THOMAS COOK の時刻表。
もっとも日本人はそうであっても、欧米人バックパッカーでは少数派でした。
時刻表を見て読んで計画を立てるというのは日本人の気性に合っているのでしょう。
方や、一つの場所に長く滞在する欧米人は、
そんなの駅で聞けばいいじゃないという感じでありました。
左の写真は、JULY 1982版。
これは、初めての訪欧の時に持っていったもので、
2ヶ月近く持ち歩いたものだからすっかり貫禄がついた。
左下の白囲みにU.K. Price £3.60 とあって、つまりこれは「洋書」であります。
現在のCOOKは、使い方など日本語で編集されているが、
このときは脚注の英語など一生懸命読みながら使っていました。
ここでは80年代に戻って、時刻表上の架空移動を試みつつ、
多少、その見方(殆どは現在も変わっていません)など振り返ってみたいと思います。
COOKは、主に国別の鉄道地図であるMAPと
個々の路線時刻表であるTABLEから構成されています。
まず、大きく移動するときにお世話になるのがMAP 4
MAP 4はヨーロッパ主要部の国際列車などを調べるときに
使うもので、旅行中何度も見ることになります。
路線の横にTABLEの番号が付されていて、
自分が行きたい経路をたどって見るべきTABLEを決めます。
(何々本線ごとに分類された日本の時刻表とこの点で
見方がちょっと違います)
さて、ここでは今は無いNORD EXPRESS(北急行)に乗って
パリから北欧に向かうことにしましょう。
TABLE 19 がNORD
EXPRESSの時刻表
TABLE番号は、100番台フランス、200番台前半ベネルクス、
というように100番以降が国別の国内路線となっているのに対し、
二桁は国際列車で、中にはこのように愛称を持つ列車もある。
NORD EXPRESSなど、一本でひとつのTABLEを持つ別格扱い。
17:10にパリのノルド(北)駅を出た列車は
ここで先着していたロンドンからの列車と合流します。
次のAachenのところに見える建物のような記号は国境のマーク。
早朝デンマーク国境を越え、9:09にコペンハーゲン着
さらに列車ごと積み込まれるフェリーで海峡を渡ってスウェーデンに入り、
18:28、終点のストックホルムに到着。25時間余の旅が終わります。
説明をいくつか
ロンドン発の列車で、(Br.T.)や(Bel.T.)とあるのは標準時。時差に注意。
駅名の右の数字は関連するTABLE番号。
脚注のベッドのマークは寝台車とクシェット(簡易寝台でこちらは2等のみ)
車両のマークの中に1、2とあるのは一等車と2等車の両方連結の意
グラスのマークはビュッフェ、夏場は食堂車連結(ナイフとフォークのマーク)
Paris−Kobenhavn and v.v.とあるv.v.は復路も同じの意味。
また、コペンハーゲンのところ、Connection at kobenhavnの表記は列車が
変わる(乗り換えになる)かもしれない。周りの人の動きに注意する。
(「(その4)THOMAS COOK の時刻表(2)」でストックホルムから、さらに北を目指します。)
上の「パリのノルド駅」の補足説明
パリに「パリ駅」はなく、ロンドンに「ロンドン駅」はありません。
COOKには、主要都市の駅の配置図のページがあってパリは左図。
北フランスやロンドン、ベルギー方面は北駅
アルザスなどフランス東部やドイツ方面は東(Est)駅
ブルゴーニュ、プロヴァンスやスイス方面はリヨン駅
フランス南部やスペイン方面はオーステルリッツ駅
パリ南側の近郊やフランス中部へはモンパルナス駅
ノルマンディなどフランス西部へはサンラザール駅
といったように分かれています。
従って、乗る駅、到着駅について時刻表で確認する必要があります
TABLE 19の他の駅では、ロンドンはビクトリア駅、ブリュッセルはMIDI
となっています。(他にドイツ内でHbf.とあるのは中央駅の意)
(その4)THOMAS COOK の時刻表(2)へ 共通編の表紙に戻る トップページに戻る