都市文化 コペンハーゲン

(データ:1982年8月、1988年6月)

◇印象

一国の首都としてはこじんまりとしていて、初めてでも歩きやすい町である。これといった大きなモニュメントがあるわけでないのだがコペンハーゲンには独特の居心地のよさがある。都市文化とでもいうべき洗練された独特な空気がこの町やこの町の人々に感じられる。

有名な人魚姫の像ばかりでなく像や噴水などの彫刻作品を町中至る所に目にし、あるいは中心部ストロイエでは大道芸人のパフォーマンスに老若男女が足を止めて楽しむ。美術館の展示が充実している一方、公園の緑も豊かである。バックパッカー向けには“Use it”という情報センターが組織されて、若者たちがスタッフとして立ち働いている。

一番びっくりしたのは、たまたま通りかかった公園で若い女性がトップレスで日光浴していたこと。誰もが平気な顔で傍らを通り過ぎて行く。日比谷公園では考えられないことが、この町では日常生活の断片であるのでありました。

◇アクセス

パリから乗り継いで12時間、ハンブルグからは4時間半。かつてはロンドンやパリから NORD EXPRESS (北急行)という愛称の国際列車が走っていたが、現在直行便は無いようである。またコペンハーゲンはスカンジナビア諸国へのゲートウェイでもある。ストックホルムまで5時間、オスロはヨーテボリ経由で8時間。

デンマークの首都コペンハーゲンは島の上にあって、スカンジナビア半島に向かう長距離列車はそのままフェリーの船腹に詰め込まれる。20両はあろうかと思われる長い列車が、船の中で客車から降りてみると3両しかなく、デッキに出て前後を見ても同僚船の姿は海上どこにもないという手品みたいな技を2回体験しました。あれは今でもやっているのだろうか、今でも謎のままである。

 

◇ニューハーフン

人魚姫の悪口はブリュッセルの項で書いたのでここでは繰り返さないが、中央駅から人魚姫の像まで約3km。少々遠いが、ストロイエやアマリエンボー宮殿など重要なポイントを通り、市の中心部を縦断して歩くことになるので、町の組み立てを把握するのにはいいルートだと思う。この途中、アマリエンボー宮の手前あたりで右手にそれると港町ニューハーフンに出る。酒場で船乗りらしい男達がビールを飲んだり、大声で歌ったりといった、いかにもの光景が見られた。ハンブルグあたりに通ずる雰囲気である。

(港町であるということは町の性格に開放感とか進取の気風といったものを与えると思う。もちろんこれは貿易港に限った話であって、日本でいえば函館、横浜、神戸、長崎などに共通する空気は宮古や境港などの一般の漁港に無いものである)、

 

北欧編の表紙に戻る  トップページに戻る