[ 80年代バックパッカーの風景]
鉄道旅行の愉しみ
(その3) THOMAS COOK の時刻表(2)
「THOMAS COOK の時刻表」で、パリを“NORD EXPRESS”にて出発、翌日の夕刻ストックホルムに到着たところです。
前回はTABLEや脚注の説明が中心だったので、今回の架空旅行は、もうちょっと実際の列車の選択などやってみたいと思います。
目的地は、ストックホルムからさらに北上、スカンジナビア
山脈を超えたノルウェーの不凍港ナルビクとしましょう。
ここは北極圏。夏は白夜、冬は太陽の出ない期間があります。
前出の「MAP 4」ではスカンジナビア諸国は圏外となり、
ここは「MAP 10」を見ます。(左図)
図右下ストックホルム(STOCKHOLM)のあたり路線が
ごちゃごちゃしていますが、太い線を北にたどると、
BODENから左上方向に線が延び、図の上辺にNARVIK
の文字が見え、終着駅になっているのが分かります。
線に付されている「476」がテーブル番号で、
下にたどっていくとストックホルムまで続いています。
[ルート作りについて]
私の場合、COOKのMAPをヒントにすることが結構あった。
ナルビクからの帰路をどうとるか、MAPが選択肢を示している。
同じルートを戻るのはつまらないので、バスで南寄りのボーデ
(TABLE489、バス便は破線で表示される)に出て、
フィヨルドを見物しつつノルウェーを南下するのが最有力。
物好きルートとしては、幹線と同じTABLE番号で、GALLIVARE
から分かれるローカル線がちょっと気になる。
ダイナミックにいくならBODENからボスニア湾北岸を回って
フィンランドに入るのも面白そうだ・・・といった具合。
未知の土地の様子を思い浮かべてわくわくしてしまうのだ。
では、COOKのページをめくって、TABLE 476に移動します。
只今夕刻6時半。すぐに決めなければいけないことは、このまま列車を乗り継ぐかどうか。
1.乗り継ぐ場合
残っている列車は、92、988、952、954の4本。
これらは列車番号で、下に番号毎に注があります。
例えば92はPOLCIRKELNという愛称付の列車で、夏場は毎日
運行されているが、オフは減便になるなどといったことが分かります。
92で注意するのは、列車番号下のRのマーク。
予約が必要である可能性があり、窓口で確認します。
また、キルナより先、f の注があります。脚注は図では切れて
しまいましたが、夏場以外は金曜、土曜のみの運行とあります。
さて、判断ですが92で問題無いようであればこれが順当。
連続2昼夜の移動はかなりこたえますが、ナルビクでのんびりしましょう。
92が乗れないようであれば、次の988がセカンドベスト。
BODENで、12:28発に乗り換え、92がナルビクに着く頃に
キルナに着きます。
残りの2本は、ナルビク到着が遅かったり、途中止まりだったりで、
ここまで待つのなら(前の二つが乗れないなら)宿を探しに行きます。
2.翌日移動する場合
まずしなければいけないことは、宿の確保。物価の高い北欧では、
なるべく夜行列車を活用したいが、2昼夜連続は勘弁という場合。
翌日の選択肢が二つ。
ひとつは、8:15発に乗って翌日10:35ナルビク着(26時間の苦行)
もう一つは、17:00発。所要時間21時間と短い上にストックホルム
の見物ができるが、座席車を連結しておらずクシェット代が必要となる。
17:00発のすぐ後にもう一本列車がありますがが、これに乗っても途中で20:15発(列車番号92)に乗り替えることになります。
ならば、ストックホルムで一泊せずにそのまま行ってしまえ、ということになりますね。
なかなか思うようにいかないことが多くて、当時は、がっかりしたり、腹を立てたりしながらCOOKの時刻表を見ておりました。
なお、私の実際のナルビク往復は次のようでした。
1988年6月26日 コペンハーゲン (朝) ⇒ (16:47) ストックホルム (17:30) ⇒ (27日17時)ナルビク
29日 キルナ(21時) ⇒ (30日14時) ストックホルム (21:30) ⇒ (7月1日7時) コペンハーゲン着
北欧は移動距離が長いし、宿代が高いということもあって、夜行列車をよく利用することになります。
夜行列車は当たり外れがあって、時期やタイミングにより混雑したのにあたるとつらい。幸い、上のストックホルム以北の列車は、
すいていた上に、北欧らしく木材を多用したきれいな内装の快適な車両で、行けども行けども変わらぬ車窓風景に退屈しつつも
何とか長時間の移動を過ごしました。
(その4)各国の列車へ 共通編の表紙に戻る トップページに戻る