北の都市 ストックホルム

(データ:1988年8月)

 北の町ストックホルム

 

◇ストックホルムのもう一つの特徴

この街は複数の小島から町が構成されていて、複数の橋がこれらを結んでいる。例えばガムラスタンがあるのはスタッスホルメン島、有名な帆船のYHがあるのはシェップスホルメン島である。一つ一つの島は小さくて、国会議事堂のある島など、その島の全部が国会議事堂である。このような町は他に例を思いつかない。ストックホルムは北欧のベニスと形容されることがあるが、ヴェネツィアには運河を渡る橋は無数にあれど島と島を結ぶ橋はないのである。(そもそも町の種類がぜんぜん違うのであるから、水上都市だというだけで何でもヴェネツィアにしてしまうのもどうか)

 

◇おすすめ

市庁舎の庭の水辺に突き出た一角。丁度ガムラスタンのある小島に相対する。私は夜行列車の出る時間まで円柱の台座に腰掛けて対岸の灯りがついていくのを見ていました。辺りに人影少なく、小船が前を行き、水鳥の舞う青い世界は、目の前のストックホルムの町がこの世のものでないようなちょっと不思議な感じの夕景でありました。

◇アクセス

ヨーロッパ中心部からはコペンハ−ゲン経由で入る。コペンハーゲン−ストックホルム間は昼の便で5時間ほど。夜行列車もある。

 

◇北の都市

港町であるが、港町に特有の猥雑さがない。私がこの町に到着したのは6月も末の昼過ぎであった。車窓から水辺で日光浴する人々の姿が見えていて、町なかは短い夏をENJOYしようとする雰囲気に満ちていた。ヨットが浮かぶ港町は、緯度が高いせいか空気が澄み切っていて清潔な印象。

反面、ヨーロッパ的な歴史の重厚さや、南欧的な生活感に乏しい分、深みのない感じもある。一応ガムラスタンという旧市街はあるのだが、しかもそこは“ストックホルムの大殺戮”なる歴史の舞台でもあるのだが、歩いてみれば明るいショッピングストリートで物足りない。

 

 

青の光景

対岸がガムラスタン

尖塔はリッダーホルム教会