フランス料理とはどんなものだろうと、今回積極的にレストランにはいってみました。
以下その体験記ですが、例によって食堂クラスの店での話です。
◇レストランの入ろう
YHや安宿を泊まり歩くバックパッカー達にレストランは無縁で、そういった連中と旅していた頃はレストランに入る奴は殆ど軽蔑の対象、という感じであったが、今は、これもひとつの旅の体験と思うようしている。まあ、単に食欲に負けているだけとも言えるし、逆に食料調達による食事の旅しているという実感がしみじみ得られる良さも知っているのだが、そこにも確かに日本にない何かがあるので、後ろめたさを乗り越えて出かけてみましょう。
今回観察されたこと
・基本的なことはイタリアと同様(⇒イタリア編「食について(実践編PART1)」)
・定食(MENU)を頼むのが無難(アラカルトは、言葉の問題に加えて、イタリアに比べても割高の印象)
・MENUが、英語読みでフォーミュラのように読めるような単語で示されていることがあった
・MENUは、安いところを探して15〜20ユーロで、構成は、前菜、メイン、デザート。パン、税、サービス料金込み
・スペインと異なり、MENUにワインは含まれず、これが他の南欧諸国に比べると結構高いので要注意。トラブル実例集に書いたケースは特別だが、安くても一本10ユーロ、1/2ボトルでも6ユーロ位する
・かつて煙草の煙に違和感無かったが、現在は店内で喫煙する人は見かけなかった(確かフランスも禁煙法が施行された筈)
・おやと思ったのが、席を立って支払いに行く人を2,3度見かけたこと。テーブル清算の原則が変わりつつあるのだろうか。また、食事中ナプキンを膝に置く習慣も、このクラスのレストランではする人しない人半々くらいか。
そば粉のガレット
これはクレープリーで食べるいわば軽食で、
残念ながらレストランでの写真は撮っていない
◇フランス料理体験記(異文化発見記)
☆パテ (ヴァンヌにて 前菜:パテ メイン:魚のグリル ワイン込23ユーロ)
素材で勝負という感じのイタリア料理に比べて、この加工度合いの高さは、私にとってはフランス料理の象徴。
メインの魚料理は「こち」のような魚のグリルにマヨネーズソースをかけたものであったが、米かと見えた付け合わせは食べてみると何かの穀物で、土地柄ソバの実かと思われた。米が付け合わせになることがあるが、調理のされ方からして、我々の「ご飯」は彼らにとっては野菜の内であるように思われる。
☆魚のスープ (ラ・ロシェルにて 前菜:魚のスープ メイン:ムール貝クリーム煮 ワイン込20ユーロ)
イタリアのズッパ・ディ・ペーシェもスペインのソパ・デ・ペスカードも私は大好きで、ではフランス版はどんなものかと注文したところ意外なものが出てきた。つぼ型の容器に入っていて、どろどろしている。英語の勉強でスープは「飲む」ものでなく「食べる」ものだと教わったがこれなら納得できる。細切りのチーズと細かく切ったパンを加え、にんにくの効いたマスタードなどの“薬味”をつけて食べる。イタリア、スペインに劣らずおいしい食べ物であったが、それ以上に意外体験が愉快であった。
メインのムール貝は多くの人が食べていたものだが、小粒で、これはベルギーが勝ると思われた。
☆生ガキ (サン・マロにて 前菜:生ガキ メイン:タラのグリル ワイン込23ユーロ)
生ガキはサン・マロ名物になっているようで、いくつものレストランが店頭に生カキを並べて客を誘っている。あちこちで見かけるので、生ガキのフランス語を覚えてしまった。しばしば添えられるカンカルという単語は近くのカキの産地名であることがやがて判明。ブランドということですな。高価な食べ物ということか、レストランのメニュー表を検分していると、6個だといくら、8個だといくらといった細かい設定をしている。で、私の前菜は生カキ6個。妙にいじましく一個一個大切に頂きました。カキ自体は日本のものと大差無いように思われたが、炒めタマネギ入りの酢につけて食べるところはフランス。
☆仔牛の頭 (ルーアンにて 前菜:生ガキ メイン:仔牛の頭 ワイン込24ユーロ)
フランス語で頭のことをテットゥというが、メニュ―表にテットゥ何とかとあるのが、仔牛の頭の料理。ヴァンヌのレストランで近くのテーブルにいた二人のおじさんが、実にうまそうに食べていたのが多分それで、機会があれば試してみようと思っていたもの。その時は二つの鼻の穴が見える頭部が皿の上にでんと置かれて出されていたが、ここでは切り身で出てきて、どこをどう食べるのかの興味と不安は消えた。しかし日本ではお目にかからない異様な形状で、ここは頭皮か脳味噌かと考えだすと食べられなくなる。脂身の多い臓モツのような味で、マヨネーズ系のソースを付けて、何も考えないで食べると美味。欧米人は、日本人が生魚やら海苔やらクジラやらを食べるのを見ると嫌悪感を抱くらしいが、彼らだってとんでもないものを口にしているのた。