海と城壁  サン・マロ

(データ:2008年4月)

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海と城壁

中央の島がベ島

丁度カモメの頭のあたり、斜めに小道が海中へと続いている

シャトーブリアンの墓は右肩あたりに立っているそうだ

産まれた時の泣き声が波の音でかき消されたという作家に

相応しく海と一体化するような場所に眠っているわけだ

 

◇城壁を歩く

浜を歩くのも良いが、よりダイナミックな展望は城壁の上から得られる。要塞の方へと浜に出る場所の先、城壁沿いに進むとすぐに階段があって城壁の上へ。ここからオランダ砦まで続く数百mのプロムナードである。途中Tour Bidouaneという16世紀の塔のところで角度にして60度ほど回り込むが、その手前(旧要塞のある側)は岩場が多いのに対し、塔の先は砂浜が広がっている。砂浜に大きな文字ガいくつも描かれていたが、間もなく海中に消える運命にある。

上から見てて面白かったのは海際にあるプールで、それは徐々に海の中に没していき、いまやかすかに矩形の辺を残すのみになっており、海面の上昇が目に見えるかのようであった。視線を上げると、シャトーブリアンの墓が立つベ島があり、これも干潮時には陸続きとなるようで、島からの小道はそのまま海中へと没していた。

 

◇旧市街の空気

サン・マロは人気あるリゾート地のようで、大勢の人がそぞろ歩いていた。とはいっても海辺の町らしく観光地の俗っぽさはなくて、一人旅の私でもリラックスできる雰囲気であった。カキの産地が近く、どのレストランでもカキを売り出しているのも好ましい感じであった。ただ残念ながら城壁の中の町並みはカテドラルを含め平凡。この町は海と城壁に尽きる。砂浜のカフェ(海の家みたいなものでしょうか)で『モナコ』(ビール+カシスリキュール+レモネード)を飲みつつ、この寒いのに唯ひとり抜き手を切って泳ぐ人を眺めているのはとても良い気分でした。

 

◇宿について

旧市街に宿は多いようだが、訪問客の数に比例して料金は比較的高め。かつての駅前には宿が数軒あるが、その中で安い宿ならここと教えてもらったところがあるので紹介します。

HOTEL DE L’EUROPE (44, Bd de la Republique)

トイレ・シャワー共同一泊シングル25ユーロ

 

旧市街の半値以下の価格は魅力的。町から遠いのは不便(その代り出発の時は近い)ですが、夜も更けて街のざわめきに後ろ髪引かれつつ、暗い夜道をとぼとぼ歩くのもそれなりの風情がありました。

 

◇近郊の町について

サン・マロは近郊に有力な名所があり、そういったこともサン・マロの価値を高めているのかも知れない。第一にモン・サン・ミシェルですが、これは項を改めます。他にディナンもきれいな所のようです。

私が気になったのはカキの産地であるカンカル。行っていないので本当はどんなところか分からないのであるが、私の勘では「フランスパリ」に書いた“白ワイン飲みつつ一週間過ごしたい町”の有力候補。

◇アクセス

レンヌから1時間。パリから直通のTGVが、朝夕1、2便ずつある。また、ノルマンディ方面へはサン・マロ―レンヌ間のDolが乗り換え駅になる。

サン・マロ駅はスクラップ&ビルドなったところであった。ガラス張りの格好良いデザインの新駅は、旧駅から3、4百mほど後退し、旧市街が少し遠くなった。線路跡に沿って歩くとかつての駅前に出る。新駅の前ががらんとしているのに対しこちらは駅前旅館やカフェが見え駅前広場の空気をとどめている。おそらく数年もたてば風景は一変してしまうのだろう。

旧市街へは旧駅から延びる一本道を10分余り進む。

 

◇砂浜を歩く

サン・マロの魅力は、干満の潮位差という自然の驚異と重厚な城壁という歴史が生んだ遺産との組み合わせという一点に尽きると思う。城壁入口の手前にある で地図や情報を入手したら、サン・ヴァンサン門から旧市街に入りすぐ右折、サン・マロ博物館の先あたりFORT NATIONAL(旧要塞)のサインに従って海側に出ましょう。思わず感嘆の声が出ると思います。

深い緑色の海に城塞のある島が浮かび、砂州が続いている。見た瞬間なるほどこれかと思った。潮の満ち干きで有名なモン・サン・ミッシェルは、海続きというか、そう遠くない距離にあるのだ。城塞の岩山に取りつき、城門をくぐると係の女性が下りてきて、「あと一時間半で、この島は海に囲まれます」と言い、城門を閉めにかかった。(干潮時、満潮時の写真を下に掲載)

砂浜だけでなく岩場も広がっている。岩の上を上がったり下りたりしながら歩く。かなり高いところのくぼみに海水がたまっていて、ここまで海面が上がってくるのかと驚かされたことでした。

 

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干潮時、陸続きの旧要塞

 

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満潮時、どう見てもこれは島

 

(満潮、干潮と書きましたが、この2枚の撮影された時間の差は実はたったの2時間余。いかに潮の足が速いかが分かります。現場でこれを目撃すれば自然の不思議さを実感します)

 

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