奇跡の町 モンサラーシュ

 (データ:2014年5月)

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モンサラーシュのメインストリート

 

◇奇跡の町

長年、ヨーロッパの中世都市を歩いてきましたが、こんな町があったら歩いてみたいと思う理想が体現されているのはほとんど驚異的。

 

 丘の頂に造られた町で、入り口になる城門から反対側の城まで、僅か300程(歩いて実測)。上の写真はメインストリートですが、これに並行する道が2,3本。それらをつなぐ小道がいくつかあって、そのすべてが白い家で埋め尽くされている。

 

写真の突き当りを左に折れるとすぐ城門。見えている石段の右はカテドラル。その前の小広場には、小さな町にしては立派なペロリーニョが立つ。撮っている背後は100mも歩けば城に至る。

 

 

◇城について

 ここも元々は要塞として築かれた町であり、城壁に囲まれており、城門の反対の端に城Casteloがある。城といってもフランスやドイツにある王様やお姫様が住んでいるような類のものでなく、カステロ・デ・ビデマルヴァオンの城同様、戦闘用、実用的なもので、要塞という言葉の方がぴったりする。

 砦に上がると、モンサラーシュの白い町の俯瞰も、平原の風景も素晴らしいが、何よりびっくりさせられたのは、壁に囲まれた城の内部が闘牛場になっていること。中世期からそうであった訳ではないだろうが、大きな石が見物人が腰かけられるような具合に組まれていて、それと分かる。闘牛場の土の上に降り立つのは、貴重な体験であった。

 

 なお、城は常駐する管理人はいない様子。従って入場無料。翌日朝早く、朝日を見にいたときも、入り口が閉まっている訳でなく、全く放置されているようであった。

 

 

◇「日暮れ時とやや遅めの朝に沈黙の音がする」

 と聞いたからには是非一泊してみたい。右の写真は、城門の前のテラスから見た落陽。地元のおじさんが二人、何もさえぎるもののない落陽を見ながら話をしていた。下の平原からは、群れが小屋に戻るのか、さかんにカウベルの音が上がってくる。反対の湖が広がる側には、青さを増す空に満月が静かに浮かんでいた。日が沈むとすぐにおじさん二人は立ち去る。ここには浮世離れした暮らしがあるのであった。

 

 翌朝の太陽は、湖のある側から上ってきた。日の出直後の冷たい光が、湖面に反射してきれいであった。

 

 

◇エステーCM 

http://www.st-sendenbu.com/cm/sr14a.html

帰国して間もないころ、家でぼんやりTVみているとこのCMが流れ、それまで知らなかったので、かなり驚きました。小さい町に一日いると、あちこちで腰かけて周りを眺めていたり、同じ場所を何回も歩いたりすることになります。ディテールがかなり記憶に残っていて、早いスピードで移り変わる映像は、「あ、どこだか分かる」というものの連続でした。

◇アクセス

リスボンからは、エヴォラレゲンゴスとバスを乗り継ぐことになり、下調べが要る。リスボンからレゲンゴスへの直通バスは朝一便。その他にも便はあり、訪問に際してはREDE社のサイト(http://www.rede-expressos.pt/)で検索を。使い方についてポルタレグレの項に少し書いています。

 

問題は、レゲンゴスーモンサラーシュ間。これはREDE社による運行ではないようで上記のサイトに出てきません。私の場合、エヴォラのバスターミナルで情報を入手しました。行きはエヴォラ10:25発、レゲンゴス13:40発でモンサラーシュまで40分。戻りはモンサラーシュ8:00発、レゲンゴス11:30発でした。

 

何時間も乗っている訳ではないのですが、便が少ないのでなかなか大変。しかし訪れる価値の非常に大きい町です。

 

 

◇モンサラーシュ到着

 バスは城門のすぐ近くのテラスに到着。180度ずっと続く平野のパノラマの足元に、複雑な形をした湖が横たわる、作ったような絵画的風景。丘上都市から湖を見るというのは、コルト―ナが良かったが、あれは距離もあってトラメズィーノ瑚は風景の一部であった。湖が眼下に大きく広がるここの特異な景観は、多分ヨーロッパの他のどの町にもないのではないか。

 城門の前に出ると反対側が見える。こちらも山らしい山は遥か彼方にあるばかりの、見渡す限りの平原。モンサラーシュは、半球の青空の中に浮かぶ丘の町なのであった。

 

 なお、バスが着くテラスから、町に背を向けて反対側、坂を下り、すぐ登り返した小ピークに家が立ち並んでいるのが見えます。地形が面白く、また向こうから対峙するモンサラーシュの町を見ることができるので、バスを待つ時間に行ってみるといいと思います。廃墟化している建物もあってちょっと面白い感じでした。

 

 

    i 

城門を入ってすぐ左折。突き当りから右に伸びているのがメインストリート。その角からすぐの左側にi があり、宿(4軒)やレストラン(5軒)のリストが付いた地図を入手することができます。

 

 

Casa StCondestavel

 メインストリートをi から100mほど行った左側にある宿。Casaは家の意だが、個人の邸宅を改装して宿にしていて、なかなか趣がある。シングルが満室とのことで、ダブルルームの部屋で一泊40ユーロ。レセプションの横にあるドアから入る部屋で、「窓を開ければヨーロッパ!」どころか、窓を開ければメインストリートなのであった。人通りの殆ど無い町のことで、洗濯したジーンズを窓のところ道の側に干して、非常に開放的な気分でした。

なお、すぐ近くのレストランLumumbaは、経済的な店としてi の女性が教えてくれた店で、郷土料理が食べられます。

 

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「日暮れ時とやや遅めの朝に沈黙の音がする」

 

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