スペインレポート(2008)/基本情報

 

スペインについて」は印象記の域を出ず、具体的なことに乏しかったのですが、

ようやく再訪適い、続きを書くことができます。もっとも今回の訪問はスペイン北部のみ、

期間も4日間と短かったので、勝手な思い込みが含まれている可能性ありです。

「基本情報」と「旅のヒント」の二つに分けます。

 

≪宿について≫

◇シングルルーム料金相場

今回の私の宿泊代は、一泊24〜33ユーロであった。いずれもバス・トイレ付で、イタリアやフランスに比べると随分安い。物価については、「スペインについて」の私の予想は当たっていた。

朝食は別建て。元々朝食をとらない人は関係ないし、食べる場合でも、近所のBARに行った方が安いし、体験としても面白いと思う。

 

HOSTAL(オスタル)へのアプローチ

アプローチとは大げさだが、ホテルならば通常、建物全体がまるごとホテルでドアを開ければレセプションに進むが、オスタルやペンションはえてして建物のひとつのフロアの全部や一部で営業し、道路に面して「入り口」がない場合があるので。似たようなことをイタリア編でも書いた気がするが、やってみればなんでもないことでも知らないと途方に暮れてしまうこともあるだろうと一応流れを再確認。

 

・宿のサインを探しながら町を歩き、あたりをつける。

・建物の入り口の横にインタホンがあるので、該当するボタンを押す。ネームプレートが全く入っていない場合もあるが、「P」(ペンション)などの記号が付されていたりして何となく分かる。

・インタホンに出てきた相手に「部屋はありますか」などということをスペイン語で申し述べると解錠してくれる。英語が通じにくい国ではここがつらいところだが、先方は毎日同じやり取りをしている訳で、通じなくとも部屋が空いているなら鍵を開けてくれる筈。

・建物の中に入る。通常内部に灯りはなく暗いが、小さく光るボタンを見つけて押すと点灯する。(ホテルでも庶民的なところなどはこのパターンで、見逃すと薄暗い中手探りで部屋にたどり着くはめになる)

・螺旋階段を上がっていって目当てのオスタルのドアを見つけ、ブザーを押す。

 

・宿によっては満室の場合、下に「complete」の紙を張ったりしているので、お互い無駄を省くことができる。

・オスタルの利点は、部屋、オスタルの入り口、建物の入り口の三つの鍵の束を渡してくれること。ホテルの出入りの度にいちいち鍵の受け渡しをする煩わしさがなく、自分の部屋という感覚で部屋を使える。

・今回の宿泊で一番安かったのはサラマンカのオスタルの一泊24ユーロというものですが、これが何とシャワー・トイレ付。安宿はシャワー・トイレ共同のイメージがあるから意外だったが、スペイン全土でこの傾向があるかどうかは不明。

ビトリアのホテルの部屋

装飾ガラスのはまった小部屋は、実は道路にはみ出すバルコニー

椅子に座っている真下を道行く人が通っていく

ドアの両脇にランプがあって、スイッチが見当たらないから飾りかと思っていたところ、

夕方になったら勝手に点灯した。つまりは、これは部屋の中ではなく、建物の外の扱いなのであった

この半分路上にいるような感じのするバルコニーが気に入って、夜中までワインを飲んで過ごしました

この居心地のよい部屋が33ユーロとは、スペインならでは

 

≪その他の旅行者物価≫

・bar 生ビール(カーニャと言えば出てくる) 1ユーロ〜 (フランスのカフェなら2、3ユーロ)

・レストラン ワイン込み一通り  10〜15ユーロ(フランスやイタリアより10ユーロは安い感じ)

・バゲット   0.5ユーロ〜 (これはフランスでもこんなもの)

・ハモンセラーノ 100g  1.5ユーロ位

  (バゲットにハモンセラーノを挟めば、表で一個3ユーロ位で売っているボカディージョが3個完成)

・電話 スクラッチ式が安く、5ユーロのカードで、日本への通話は50分弱

 

≪営業時間≫

・レストラン  昼  1330〜 3時でも間に合う  

夜  7時台から開いている店もあったが賑わうのは9時ごろから

・商店 夜8時閉店 

    スーパーはもう少し遅い(サラマンカでは9時迄開いていた) 

ワインなどの食料品を扱う小規模な店の中に、夜遅くまで開いているところもある

 

≪鉄道について≫

◇やっぱり遅れるスペイン国鉄

この件では非常に有名なスペイン国鉄RENFE。スペインがEUに加盟しようが、高速列車を導入しようが、十数年の時を経てやはり遅れるのであった。私が今回スペインで乗った列車6本のうち、定刻に入ってきたのは一本のみ。この分だと毎日スペイン中で列車は遅れているのだろう。だったら初めからそのようにダイヤを組めばいいじゃないかと思うのは日本人の発想なのでしょうね。

以前は数時間遅れもありという有様であったが、今回の遅れは30分〜1時間程度で、この意味では改善しているのかもしれない。また変ったなと感じたのは、発着の電光掲示板に何分の遅れというのが表示されること。ホームに座り込んでいつ来るとも知れぬ列車を待つというのも一種スペイン情緒の世界であったが、スペインもそれなりに近代化していたのであった。

 

◇アドバイスなど

・決められた通りに事が運ばないことがあるので、周囲の状況や掲示などに注意。容易に安心できないところがあって、掲示に何番線発とあっても実際には別のホームからの発車だったりする。今回の例ではヴィトリオ行きの列車に乗り込んだところ、車掌が回ってきて言うには今日は特別とのことで、途中で降ろされてしまった。なかなか安心していられないのである。

・事前に計画を立てる場合、乗り継ぎなどうまくいかない可能性がある積りで。列車が遅れる可能性があるし、そもそもその列車自体存在しないかもしれない。現場に立つまで分からないという感じだ。

・遅れることを逆手にとるならば、間に合わないと思ってもあきらめずに駅に行くという手もある。

・高速列車導入の余波だと思うが、運行本数が少なく、以前にも増して不便になった印象。COOK最新号必携。

・曜日に注意。駅に張り出されている時刻表は、日本のように平日と休日を分けて表示するということをしていない。ある列車をあてにしていると、実は土曜日のみの運行だったりする。時刻表の注記を見落とさないこと。土曜(sabado)日曜(domingo)の単語は覚える必要がある。また「土曜」の文字があっても文の中に「non」の文字があると「土曜日以外運行」のことだったりするので油断がならない

 

◇駅のトイレ

ヨーロッパの町歩きで苦労するものにトイレがあるが、スペインの駅ではトイレは常に開いていて、しかも無人(無料)。駅のトイレといえばチップ制で、それでも人がいれば払えばいいのだが、自動式だと小銭の持ち合わせがなくて使えなかったり、鍵がかかっていたり、故障していたり、そもそもトイレ自体なかったりなど、ろくな思いをしていないのでとても有難い気がした。

 

≪気候について≫

スペインの風土というと乾燥して暑いアンダルシアの夏のイメージが強烈であるが、実際には地域による差が大きい。ガリシア地方など雨に濡れに行くようなものである。その中で注意したいのは寒さ。真冬のアビラの寒さについてはすでに書いたが、4月のカステリア・イ・レオン地方も寒かった。メディナ・デル・カンポのパンフレットが「冬は長く寒い、そして夏は暑く短い」と簡潔に説明している。土地が平らだから気付かないが、標高720mあるのであった。今回もう少し長くスペインにいる積りだったが、寒さに耐えきれず逃げ出したのである。

 

≪治安について≫

かねてより気になっていたスペインの治安悪化の問題。今回マドリッドを避けて、地方都市をいくつか訪問した。滞在が短かったからなんともいえないところがあるが、結論としては、地方は大丈夫という印象。しかし私はサラマンカでスリに遭遇(このことは共通編に「トラブル事例集」を作って書く積り)、なかなか気を抜くことができず、「治安・トラブル対策」の基本動作を守って行動しておりました。

 

また、日本と時間の感覚が3、4時間ずれていることも考えた方がよさそう。夜10時は宵の口で比較的安全である反面、普通なら悪者は寝ている安全で爽やかな時間帯のはずの早朝は、人通りの少なさが気になる。マドリッドやバルセロナなどシエスタの時間も危ないという話である。

 

スペイン編の表紙に戻る   トップページに戻る