城壁都市 アビラ

データ:1993年1月)

FH020037

◇アクセス  

  マドリッドから1時間半。本数もあり便利。鉄道駅は無論城壁の外であるが、歩ける距離である。城壁まで15分ほど。

 

◇城壁

町を外界と隔て、守るという意志を見る者に強烈に伝える。その存在感はさすがに城壁都市として名を馳せるだけのことはある。鈴木成高著『中世の町―風景―』によるとイスラムに対する防御として激闘に耐え抜いてきたのだそうだ。上の写真は城壁の展望所として定番のクワトロポルテスから撮ったもの。

尚、同書には、ガイドブックにヨーロッパで最も標高の高い都市と紹介されているのをアルプス諸都市もあるしそんなはずは無いだろうと思うのだが、宿で夜半目覚めた時の余りの寒さをかろうじて耐え、身をもって知るという面白いエピソードが載っている。帰国して調べてみると、アビラの標高1120mに対し、アルプスの町は殆ど1000mに達していなかったそうである。後でガイドブックをみると、冬に訪れるのは避けたほうがいいと書いてあったというオチになっている。

 

◇スペイン人の広場好き

シエスタが有名であるが、スペインの人たちの生活習慣は我々とは違っているのだが、そのことを容易に見て取れるのが広場の使われ方。どこの町でも彼らのコミュニケーションの場となっているのだが、ここアビラで見た光景はすごかった。

私が訪れたのは厳寒期の一月であった。その夜はダウンジャケットを着たままベッドにもぐりこむという、鈴木氏と同じ様なことをせざるを得ない程の冷え込みだったにも拘らず、夜の9時ごろ、このクソ寒いのに何しに出てくるのかと思うほどの人出である。皆、三々五々広場に立ち、白い息を吐きながら立ち話をしているのである。習慣なのだろうが、理解を超えていた。

 

◇宿について

確か当時「歩き方」に掲載されていた筈だが、一つ星のオスタル LAS CANCELAS (Crus Vieja )はロケーションが良い上に安価であり、勧められる。町の入り口の一つ、アルカサル門の高さ10mはあろうかという壮大さに較べると小さくて可愛いアーチをくぐって、すぐ右手にある。一階は2本フォークのレストランで、味も感じも良かった。仔豚の丸焼きを食べたのはここである。

トップページ「こんな人に」で草創期「歩き方」の長所を述べたが、10年前の編集でさえ、情緒的、つまりは旅心をかきたてる表現は後退したとはいえ、まだ、良質の安宿情報を提供していた。(もっとも現在の「歩き方スペイン編」もパラドールから記載はしているものの、もともと安宿天国スペインのことでもあり、他国編に較べれば使える。)

 

 

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城壁と月

 

 

城壁と月