現在の状況(2019)
私の初めてのヨーロッパ訪問から、40年近い月日が流れました。
共通編の「準備編」に書いたあれこれは私の実体験をベースにしていますが、もはや実情に合わないものも出てきています。
この間で大きかったのは、IT技術の進展と普及。
スマホなどのモバイルツールを持って旅をすることは、今やバックパッカーにおいても常識であり、
このことはバックパッキングという旅のスタイルを大きく変えたと思います。
(昨年30代のフランス人バックパッカーと、このことについて話す機会があったのですが、
かつてのバックパッキングスタイルはもはや存在し得ないという点で、意見が一致したのでした)
記録の意味もあって準備編の諸項目はそのまま残すこととし、本項で、主な状況の変化など
◇航空券手配 ・・・ 変化という点では、これが第一弾であった。
その昔、航空券は旅行代理店に発注するしかありませんでした。
しかし、今や航空券はネット上で自分の好きなようにアレンジして、しかも安価で入手することができます。
これは行き帰りのことなので、旅のスタイルに関係はなく、デメリットのない、かなり大きなメリットでした。
私は今でもスマホを持ちませんが、PCは使うので、この恩恵は十分に受けており、準備編でもその辺のことは書いています。
(⇒航空券の購入について 下の方)
◇宿に泊まる ・・・ 最大の変化であり、私の場合、対応に苦労している点
旅は自由でなければいけないので、予定が無いのが理想。今いる街で、明日何処へ行こうかと考えることは旅の醍醐味です。
バックパッカーなら大抵それは皆同じであったから、宿探しは当日の早い者順、初めての町には午前中に到着するといったことは一つの行動原則でした。
知らない町で勘を頼りに宿探しをするのも、意外な展開があったりしてそれ自体旅の楽しみの一つであったのです。
良い宿を見つけると嬉しく、このHPの町情報でもかなりの数の宿を紹介しています。
ところが、時代は変わって今はモバイル機器を共に旅をするのが一般的。
重い荷物を担いだまま、宿を求めて歩き回る苦労がなくなった一方、スマホを持たない者にとって宿探しが難しくなったことをひしひし感じます。
宿情報自体、予約サイトを検索すれば網羅的に分かるので、当HPで情報として紹介する意味も殆ど無くなりました。
国によって事情は異なるのものの、以下のようなことに対処する必要が増しています。
(1)安宿のサインが町なかから減った
例えばイタリアならペンシオーネとかロカンダとかカメレ(部室)などと呼ばれる昔ながらの安宿は、大抵通りに向けてサインを出していました。
現在はネット上でアクセス出来るので看板を出す必要も無いのか、自分の足で宿探しをすることが難しくなりました。
建物の入り口の扉横のインタフォンの横にシールが貼られているだけというのもあって、歩いてこれを見つけることは不可能です。
(2)ホステルが急増
価格面で、かつては観光客が宿泊する一般のホテルと、YHなどドミトリー形式の宿の間にシングルルームを提供する安宿がたくさんありました。
今はYHでない「ホステル」が増えた一方、中間ゾーンの宿が減少した印象です。
価格面の2極化が進んでおり、ドミトリーを選択しない場合、安く泊まることがかなり難しくなっています。
(3)ネット予約しても・・・
シングルルームを前提に低価格を追求するなら、今や予約サイトに頼るのがベスト。
昨年(2018年)のダルマチア行きでは、この現実への対応策として、全ての宿(シングルルーム)をネット予約してみました。
予定が決まってしまうことの抵抗感はかなり大きかったものの、当日宿探しをするより、相当コスト安となったと思います。
ところが、リーズナブルな宿を予約できたのは良いが、当日宿を探し始めてから自分のベッド落ち着くまでの間が、なかなかスムーズに行かない。
(⇒詳しくは「クロアチアの宿について(2018)」)
結論としては、世の中の流れに従ってモバイル機器を持たない限り、相当の不利益を覚悟しなければいけないということになります。
◇その他
・持ち物について
「何を持っていくか」に書いたことは、基本的には変わっていないように思います。
上の話はらするとモバイル機器を足すことになる一方、例えばワインオープナーなどは今や不要となりました。
・海外旅行保険について
「旅行保険について」で書いた考え方に変更する必要はないかと思われます。
一点、追記しておこうと思うのですが、EU圏への入国には、治療保険の加盟が前提となっているらしいこと。
これまでチェックされた経験がなく、実感としては無視出来るような気もしますが、その真偽も、実際の運用も良く分かりません。
・交通手段の変化
私がヨーロッパ訪問を始めた80年代は、鉄道による移動が旅のスタイル。
日本でも未だ国鉄の時代、「ディスカバージャパン」から「いい日旅立ち」へと移る時代でした。
創刊間もない当時の「歩き方」は、ユーレイルパスを握ってヨーロッパを歩くことを前提としていました。
今でもヨーロッパの鉄道網は健在ですが、当時主流であったコンパートメントスタイルの列車は消え、
ユーレイルパス保持者のベッドであった夜行列車は、大幅に縮小。
鉄道の優位性はなくなって、多くの国で効率的な移動手段はバスに取って代わられました。
「共通編」に書いた「鉄道旅行の楽しみ」は、もはやノスタルジーの世界となってしまいました。