エルヴァス

 (データ:1996年1)

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サンタ・ルジア要塞からエルヴァスを眺める

 

◇サンタ・ルジア要塞

城壁の外では、現役の水道橋という見ものがあるが、何といっても印象に残るのはサンタ・ルジア要塞。城からエルヴァスの町越しにその特異な姿を見ることができる。エルヴァスの城壁もそうであるが、星型というかヒトデ型というか、そのようなものをずらして組み合わせたような複雑な形をしている。難攻不落の要塞であったというのだから、実用の果てに出来上がった形なのだろう。

しかしより印象に残るのは、その打ち捨てられた姿。遠目には見事な造形を保っているものの、行ってみれば中は雑草が生え、保存の手が感じられない。人気のない廃墟に風が吹き渡るのみである。兵どもが夢の後の寂寥感もいいし、また要塞からのエルヴァスの町の眺め(上写真)もいい。

 

注意:私が行った1月は、観光客の姿は皆無。いくつもの壁に仕切られたかなり広い要塞に自分ひとりかと思っていたらもう一人男の姿。この男、次に見かけたときは、かつては牢屋か兵舎であったかと思われる並んだ穴倉のひとつにうずくまっており、かなり挙動不審。シーズン中ならこういうことは無いでしょうが、叫んでも誰にも声が届かない場所ではそれなりの注意が必要です。

◇アクセス

リスボンからバスで4時間。便によっては途中エヴォラ、アライオロス、エストレモスなど経由する。乗ってみて感じたことだが、バスが立ち寄る無名の町や村が実に魅力的。ガイドブックに載っているのは、比較的大きな、名の知られた町だけなのである。

また、エルヴァスは国境の町でもある。地図で見てもスペインのバダホスがすぐ目と鼻の先。バスの便があるようで、この国境越えはいつの日かやってみたい。

 

 

◇町のつくり

町は城壁に囲まれている。堅固な要塞ぶりが、国境の町としての歴史を思わせる。長径でも1kmに満たないサイズ。町の中心はレプブリカ広場で、モザイク様に敷き詰められた黒白の石が美しい。この広場の正面に建つ旧カテドラルの右の道を上がっていくとぺロリーニョのあるサンタクララ広場を経て、上り詰めた先が城である。城壁内はこの一帯が見所。この町は斜面についていて、最上部になる城はオリーブ畑続く農地など、周辺の眺めが良い。ちょっと離れてもう一つ目立つ丘があって、やはり城がある。

 

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サンタ・ルジア要塞へと歩いていく

 

 

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