旅のヒントが得られる本

(この項は、良い本を見つければ書き足していきます)

 

◇すでに本編中で書いている本

・『中世の町―風景―』 鈴木成高 東海大学出版会  ⇒ ヴェズレ―/アヴァロンスミュール・アン・オ―ソワ

学生時代より私の文字通りガイドブックとなってきた本の一つ。フランスだけでなく、ドイツ、イタリア、スペインなどにわたり、中世都市とは何かを語っています。

 

・『フランス ロマネスクを巡る旅』 中村好文、木俣元一 とんぼの本 ⇒ モワサック

美しい写真を豊富に交え、ロマネスクの町(多くはサンチャゴ巡礼の道の途上にある)を紹介している。説明が分かり易く、ロマネスクとはどういうものか、素人にも分かる気分にさせてくれます。

 

 

◇『フランドルの冬』 加賀乙彦 新潮文庫

純文学作品。フランドル平野についてベネルクス編のParis − Kortrijk − Bruggeに、冬のヨーロッパについてストラスブールに、どちらもちらりと書きましたが、その両方合わせた世界に浸れるのがこの本。この本を携えて、もう一度冬のフランドルを鬱々と旅したいものです。

 

4.jpg 冬のストラスブールの宿の部屋からの眺め 種類の違う二本の高木が寒そうでありました

 

◇『フランスの不思議な町』 巖谷國士 筑摩書房

この項を書くことにしたのはこの本を読んで感心したため。著者の旅の感性がよく表れているし、ガイドブックとしても旅のヒントがちりばめられている感じがします。

フランス各地の町を21ヶ所紹介しています。私が訪れているのはその約半数。ラ・ロシェルなど漠然と私が感じていたことが巧みに表現されていて成程と納得すること頻りでした。逆に未訪問の都市では、ガイドブックなど読んだ印象でここはパスと決めていたところでも、筆者が個性的な切り口でその魅力を示していて、これは一度行ってみるかという気にさせるのでした。行く前に読んで良し、帰ってから読むも良しの好著と思います。

 

私が愕然としたのは、「カンペール」のなかの一節。『(大聖堂を説明して)フランスの教会建築としてはそう古くないが、ブルターニュではおそらく北岸の美しい町ドルの大聖堂とならんで豪壮な建物だろう。』さらに「ドル」の脚注として『ドル‐ド‐ブルターニュは、レンヌの北五十キロにある人口五千人弱の小さな町。ブルターニュ北岸の交通の要所だが、観光地サン‐マロやモン‐サン‐ミシェルの陰にかくれてあまり有名ではない。だがいかにも美しい、というよりは不思議な町の一つである。』とある。私は08年4月に乗り換えのためにドルで下車している。駅前は道路と緑地で周辺に人家はなく、朝のことで鳥が鳴くばかりであって、近くに『美しい、というより不思議な町』が存在する感じではなかった。乗り継ぎの列車が来るまで、鳥の盛んなさえずりの中、バゲットと昨夜の飲み残しの赤ワインの朝食をとりつつ静けさを楽しんでいた訳ですが、一般のガイドブックに載っていない町はこうした本から情報を得るしかないですね。

 

(以上2009年11月記)

 

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