アビニョン橋 テキスト ボックス: アビニョン

データ:1982年12月)

271

夜明けのアビニョン橋

◇アビニョン

高校で世界史をやった人は、あるいは歴史の現場に立つ感懐があるのかも知れないが、中途で挫折した私にはそれがない。その名の語感の良さに訪れたが、法王庁など造りが大きいだけの町のように感じられた。アルルに近いが、私見ではアルルの方が魅力的。

 

◇フランスの宿

ヨーロッパではどこでもそうといえるが、フランスでは特に一人旅は不利であるように思う。この町ではシングルが少なく、あっても65FFr(3千円弱)を下ることがなかった。宿探しの途中で会った二人連れが、ツインが二人合わせて63FFrで決まったと言うので、随分割り切れない思いをした。

◇南仏について

地図を見ればすぐ納得できるが、フランスは地中海イメージが強い割りに地中海に臨む海岸線は両隣イタリアやスペインに較べて短い。一番東、つまりイタリアに続く地域が、コートダジュール。ニース、モナコ、カンヌといった世界的に著名な町が並ぶが、バックパッカーには無縁。

その西側がプロバンス。ゴッホのアルルとかセザンヌのエクス・アン・プロバンスとか旅のイメージを得やすい地域。さらにその西、スペインへと続く一帯がカマルグとかラングドッグとか呼ばれる地方。観光的に名のある町はカルカッソンヌぐらいで、交通も不便だし、未知の魅力を感じる。どうもフランスの地中海岸は東へ行くほど俗化し、西へいくほど魅力を増すようだ。

私の南仏のイメージは、高校生の頃テレビで見た「雨の訪問者」という映画の冒頭シーン。激しい雨が降りしきる中、街道にバスが止まり、バスが走り去った後に降り立った旅行者姿の男がひとり雨に打たれるまま佇んでいる、というもの。舞台は南仏だった筈だがあれはどこの辺りの設定だったのであろうか。

 

アヴィニョン(2016)  前に戻る  トップページに戻る