アルル

(データ:1982年8月)

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ローマ競技場最上部からの眺め

手すりのようなものがなくて高いところが苦手な私には怖かった。強い風が吹きぬけているというのにわざとヘリに立ってふざけている奴がいたが、自己責任が原則のヨーロッパとはいえ良く事故がおきないものだ。尚、写真には写っていないが、別の角度ではローヌ川の眺めも良い。

 

◇宿について

国鉄駅を出て左手に歩くと、町の入り口である城門に至る。この周辺に安い宿がある。イタリア編の「宿について」で書いた最低ながらも印象に強く残った安宿はこの門をくぐったすぐ右手。

 

フランスの宿は通常朝食がついて、しかもクロワッサンとカフェオレの組み合わせがうれしい。このとき私は未熟者で、どうしていいのか解らずまごついていたら、パリから来たというオバサンが注文を取りついだり世話を焼いてくれ、その流れで一緒のテーブルで食べることになった。このオバサン、私が話す英語を理解するにも関わらず、そして私がフランス語を理解しないことを知っているにも関わらず、フランス語で話し続けるのである。訳の解らない会話を続けながらこれが話に聞くフランス人かと納得したことでした。

◇ローマ遺跡の町

ローマ帝国の版図の広大さ、土木建築への執念を考えると「ローマ」がイタリア国内にとどまっていない、ということをあちこちの町で「ローマ」に出くわすヨーロッパ旅行者は自然に受け入れる。アルルはその極端な例で、狭い範囲に競技場、古代劇場、浴場跡などの大造りの定番ものばかりでなく、路地の建物に至るまで由緒あり気に立て込み、歩いていると遺跡酔いしてしまう。

 

さらにこの町は美術館や博物館が充実していて、特にアルラタン博物館がおもしろい。民俗関係で、奇妙な怪物の絵や模型を次々に見ていると別の世界に紛れ込んだような錯覚を覚えた。フランスらしさは無いが、見所の多い町である。

 

 

◇ヨーロッパの町と川

 

アルプス諸国を除けば概ねヨーロッパというのは大平原に国境線を引いて各国位置している。傾斜を殆ど持たない大河が内陸深く入り、交通や物資輸送の主要手段となってきた。このことと大いに関係があると思うのだがヨーロッパ諸都市は多く川と共にある。旅行者の目線でもそのかかわりを強く感じてしまう。例えばパリをセーヌ河と切り離して考えることはできない。他の町でも同じ様なものである。

 

アルルはローヌ河畔に立つ。夕刻(といっても夏のヨーロッパのことで8時過ぎ)夕景を見ようと川沿いに歩いていると、アメリカ人バックパッカーが声をかけてきた。ヒッチとキャンプでバルセロナを目指しているそうだ。川沿いのカフェでビールを飲み、その後川を見下ろすブロックに腰掛けてあれこれ話した。この間、夕暮れに輝き、その後徐々に夕闇迫るローヌ川の変り様を眺め続け、このことは強い印象を残した。

☆追記

   この件は共通編のバックパッカー交遊録「SCENE4アルルにて」に

  に書きました。

 

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