バルト3国について
(データ:2019年6月)
◇旅のし易いエリア
昨年(2018年)ダルマチア地方を歩いて、ガイドブックに「ヨーロッパ一人旅の入門に最適のエリア」とあるのを見てなるほどなと思ったが(⇒「クロアチア(ダルマチア地方)について」)、バルト3国も状況が似ている。まず治安がとても良いこと、そして交通、宿泊、食事など旅の基本要素で殆ど不便を感じないことは両者に共通する。
バルト3国が勝るのは、旅行者物価の低さ(⇒「旅行者物価と旅の予算」)。
ダルマチアも旅行者物価は低いが、バルト3国との差は歴然。これは、観光化された時期の差を反映していると思う。ダルマチアはヨーロッパ人にとって人気のエリアとなって観光客で溢れているが、バルト3国はこれから。旅行インフラが整備されたことで、近年ドイツを始め各国からの旅行者が急増していて物価上昇中という話を聞いたので、この先変わっていくかもしれない。
逆に、ダルマチア地方が圧倒的に勝るのは、溢れるばかりの陽光。バルト3国は雨が多く、また冬期は日照時間が短くなる。
ツェペリナイ(リトアニアのソウルフード?)
レストランで€5。生ビールをつけた昼食は€10でおつりがきた。
◇国の成り立ちについて事前にインプットを
どこの国に行くにしても、事前に歴史や風土について、ごく簡単にでも知識を仕入れておくと、同じものを見ても理解の深さが変わる場合があると思う。特にバルト3国の近代史は、ナチスドイツに蹂躙され、ソビエト連邦の重圧に苦しんだ後に独立を果たしたという特異な状況があってなおさら。町の中にロシア教会があったり、KGB資料館があったり、逆に支配者に嫌われたものが徹底的に破壊された跡があったりすることが、理解し易くなります。
ベルリンの壁崩壊に象徴される、ソビエト連邦と「東ヨーロッパ」の解体への動きは、バルト3国では「人間の鎖」という形で表れた。エストニアのタリン、ラトビアのリガ、リトアニアのヴィルニュスという3首都間600kmを延々、2百万という人が手をつないだとのこと。どこかの町の博物館でその写真を見たが、人の意志というものが伝わる、3国らしい非暴力の抵抗運動なのでした。
一口に「バルト3国」と言ってしまうが、実は民族も異なれば言語も異なっており、そういうくくられ方に違和感を持つ人もいるらしい。しかし地理的にも3つ仲良くならんでいて、「人間の鎖」のような連帯のしかたをしていて、国境を接するロシアやポーランドとはイメージが違うのである。
「角の家」
リガ新市街にある旧KGB本部
「角の家」という通称に、ハリーポッターの「例のあの人」を連想した。
30年前にこんな写真を撮っていたら、大変なことになっていた筈
◇3首都
いずれも旧市街は歩いて回れるサイズで、西ヨーロッパ主要国で言えば、地方都市を訪れている感覚。教会がとても多い魅力的な町であることも共通している。
◇英語
比較的良く通じるが、たまに窓口などで、横を向いてしまわれることも。
◇スーパー
Rimi、Maximaという二つのスーパー・チェーンがどこの町にもあった。
◇日本と共通するところが。
・階の数え方 … 「セカンドフロアに上がって下さい」と言われて階段を上がると、そこには3の表示。
・年月日の表示順 … 長年の苦労でヨーロッパ式に見てしまうから、却って戸惑うことも
・玉子焼きにアジの干物 … クライぺダで朝食付きの中級ホテルに宿泊したところ、ビュッフェ形式で並んでいる料理の中に玉子焼き(的なもの)や、アジの干物(的なもの)が。「和食」を取り入れたとは考えにくく、そういう食文化なのか。
メンツィ二(リエパーヤ名物タラのつぼ焼き)
◇地球の歩き方「バルトの国々」編
多分ライターの人が優れているのだと思います。特に首都3都市については、上手に情報を拾っていて、とても有益で、大推奨。
※「地球の歩き方」についての私の感慨は、ご案内(兼作成記録の)の中の「管理人室より」の中の「このHPページについて」で思うところを書ききっています。今やさらに時代が変わり、そういったことを云々すること自体、色褪せたものになってしまったかな。昔の姿の再現は夢にしても、「バルトの国々」編は、小さな情報も発信している点で、昔の「歩き方」のイメージにちょっとだけ重なるところがあります。