王の道 アビスコ

(データ : 1988年6月)

王の道

北極圏では雲の様子も違って見える

 

◇王の道

アビスコ(ツーリスト・ステーション)から一本のハイキングルートが南へ続いている。きれいな景色の中でちょっとした山歩きが出来ればいいなと思ってやってきたのだが、そんなスケールの小さいものではなく、山や湖や森をつないで数百キロ、スウェーデン中部へと続く、その名も王の道なのであった。一定間隔でSTFの宿泊施設があるそうで、ひと夏使ってスウェーデン縦断も可能という訳。バカンスが長く、アウトドアライフ好きの欧米人にはもってこいのルートなのである。

私は数キロ歩いて引き返してきただけなのでその先のことは分からないのであるが、歩いた限り上の写真や右の写真にあるようにいかにも歩き出したくなるような道がずっと続いていた。この道を歩いて得られる爽快感は相当のもの。青空に白い雲が美しく、低木の濃い緑の葉に日光が当たってきらきら輝く。パーフェクトといっていい自然の中にいると人の顔もほころぶのか、すれ違う者同士にこやかに挨拶するのも気持ちいい。スウェーデン語なのか誰もが「ヘイヘイ」と声をかけるのでやがて私も「ヘイヘイ」を連発しながら歩いておりました。

 

川の水が美しい

◇アクセス

キルナナルビク間。アビスコ(ツーリスト・ステーション)で下車する。1日3便。

 

◇プラニング

下記のSTFの宿泊施設に泊まってしまうのがベスト。そうでない場合はキルナからは朝の便がある。ナルビクからだと一番列車が昼の便となってしまいトレッキングするには不向き。

 

STFの宿泊施設

ツーリストステーション駅は大自然の中にある。近くにある唯一の建物がSTFの宿泊施設。私が着いたのは午後8時。ここでベッドが見つからなければ立往生してしまうところで不安だったのだが、受付のおばちゃんが「キャンピングヒュッテの何番があなたの部屋、シャワーは本館の設備を使っていいが9時迄だから急いでetc etc」とてきぱき指示してくれた。

STFではホテル、YH、バンガローと複数の宿泊方式が用意され、好みと予算に応じて選択できる。キャンピングヒュッテは小道を数分歩いていった森の中にあった。質素であるが北欧らしく清潔。シャワーと言われたのは行ってみるとサウナのことで、これが本場かのなるほど体験であった。

 

 

 

王の道

Uの字形にえぐれた特徴的な山はこの辺りのシンボルらしい

STFのロビーに小学生の「midnight sun」の図画が

展示されていたが、たいてい太陽はUの字の上にあった

 

 

 

◇キャンピングヒュッテ周辺散策

キャンピングヒュッテから線路を越えて南へ行くのが王の道であるが、北にも道は続いている。川沿いの小道をたどると途中橋が一つかかっていて、渡っても渡らなくても川べりに道は続き、やがて大きな湖のほとりに出る。距離は短いものの山から流れ出る水の美しさを堪能できることと出会う人が殆どいなくて静かに自然を満喫できるメリットがある。

STFのキャンピングヒュッテには水道がありません。洗面は本館の施設を利用するのですが、朝ならば川で顔を洗う方が気持ち良いです。私の場合、少し歩いていった先の岩の上でかじりかけのパンに川の水という朝食をとりました。パンは無塩の殆ど味のないものでしたが川の水で流し込むと最高に美味しく、あれは贅沢な体験でした。

 

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