イタリア語について(最終追記2015)

 

(2015年追記)

 

イタリア語学習の勧め

 

今回のプーリア行きでは、イタリア語を話すことの必要性を痛感しました。「プーリアの旅」で触れましたが、この地域はガイドブックに殆ど紹介されていないため、現地の人の助けによるところが大きい。新たな町に到着する度、どちらに歩けば町の中心(旧市街)に至るかが分からず、とりあえずいったん途方に暮れます。そこにいる人、通りかかる人に尋ねるのですが、まず英語は通じません。旅は、言葉ができなくても何とかはなります。しかしイタリア語を知らなかったら相当困っていただろうなという場面が何度もあり、敢えてこの項追加しました。

注)ローマやミラノなどの大都市や有名観光地なら、この必要度合いは急速に低下します。

 

 

さらにトラブル解決だけでなく、イタリア人は話し好きなので、言葉が分かると旅の楽しさが倍増します。こちらが英語しか知らないとなると向こうも困ってしまい、話はそこで終わってしいます。しかしこちらが少しでも喋れると見てとると、親切心、おせっかい心、好奇心その他イタリア人の特性を存分に発揮してくれます。ローマからプーリアに向かう列車で一緒になったフランチェスカの勧めで、それまで名前すら知らなかったバルレッタで下車した経緯をバルレッタの項で書きましたが、印象に残るやりとりは他にもたくさんありました。

 

モルフェッタにて

どこに旧市街があるか分からず、駅前の道を歩いていって、午後の休みに入る直前の食堂に入って昼食。旧市街の場所や安宿の有無などを訊いているうちに、店の人がじゃあ連れて行ってあげるよと言ってくれるラッキーな展開。で、そのおじさんの車に助手席に座り、習慣でシートベルトをしめようとすると、おじさんは笑って、俺たちはどこにいるんだ?ここはイタリアだよ(Siamo in Italia!)。旧市街に着くと、おじさんは一緒に降りて、2か所、空き部屋の有無を当ってくれました。(残念ながらどちらも満室でしたが)

 

☆同じくモルフェッタにて

 結局、宿はiのお兄さんが、スマホで順にBBに電話をしてくれ(この間のこちらとのやり取りも全てイタリア語。iでも英語が通じないことがあります)、ようやくシングルルームが見つかりました。車で迎えに来てくれたB&Bの息子アンドレアは、車を出すなり、「バールに寄っていこうか」。バールはイタリア人の生活の一部みたいなもので、町中にあるし、彼らは頻繁に立ち寄る。彼は近くのバールの前に路上駐車し、キーもかけず、窓も開け放しのまま、バールに入る。カフェダイスでいい?と彼。それが何か分からぬまま、はあと私。カウンターに二つ並べられたのは、普通のエスプレッソと、氷の入ったグラス。エスプレッソをグラスの中に空け、ローマではこの頼み方をするんだと説明(アンドレアはローマで働く警察官で、たまたま帰省中)。カフェダイスは、Café de ice、アイスコーヒーなのでした。イタリア人とバールに入ったのは初めての経験で、その動作や、私のような外国人旅行者に対するのとは違う店の人の接し方を見てとれたのは面白かった。長居することもなく、すぐに車に戻ったのもイタリア式か。

 

オストゥーニにて

夜用のワインを買うのに、スーパーが閉まっていて、食料品店(専門知識があって、好みを相談できるが、料金はスーパーより高め)に行く。4ユーロで赤ワインをと最初に話しかけると、髭面の店主は黙って横に首を振る。5ユーロでもいいかと確認した店主は、いくつか候補を挙げ、味の好みを訊いてくる。Mi piace piu forte.(しっかりした味のものを)と言うと、一本選びだす。値札に6.05ユーロとあるので、それを言うと5ユーロでいいとの回答。了解と50ユーロ札を出すと細かいのはないのか?残っていた小銭を手のひらに乗せると、じゃあこれでいいよと、1ユーロコイン4枚だけをつまんでとる。ちょっと強面の風貌の人物だっただけにこの成り行きが面白かった。

 

きりが無いのでこれでやめますが、日々こんな感じのやりとりがあって、本当に面白い。という訳でイタリア語学習強力推奨の記でした。

 

注)私が流ちょうにイタリア語を話せるわけではありません。こちらがイタリア語を話す意志があることが伝わることが大事で、そうすれば後は大抵、先方が一生懸命になってくれました。NHKラジオ講座入門編のレベルで十分です。全く知らないのと、ちょっと知っているのとの差が物凄く大きいのです。

 

 

 

(以上2015年追記)

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

イタリア語について

 

中部ヨーロッパ、北ヨーロッパでは皆が英語を話すので、こんにちは、ありがとう、などの挨拶言葉は礼儀として覚えるにしても用事は英語で済ませてそれを不思議とも思わない。

しかし南ヨーロッパでは英語が通じにくく、言葉をどうするかが問題になる。一番英語が通じにくいのはスペインで、旅の必要上いやでもいくつかの単語、言い回しを覚えさせられてしまう。イタリアはそれほどではないのだが、通じにくいことには変わりなく、また国民性か、カタコトにせよイタリア語を話した方が、相手が自然な笑顔を見せるような気がする。恐らく、イタリアを個人旅行した人の大半が認めてくれると思うのだが、少しイタリア語の勉強をした後に訪問した方がずっと楽しい旅になると思うのである。例えば民宿に泊まるような場合、シニョ−ラがせっかく一生懸命話かけてくれるのが、ほんの少しでも聞き取れれば、そしてそのことが相手に伝われば、手を取り合って喜ぶような展開にもなるわけです。

 

さて、その方法であるが、最もよいのは、NHKラジオのイタリア講座(月〜木の入門編)である。6か月のコースだが、文法関係は基本中の基本(最初の2〜3ヶ月分位)のみでOK。覚えておいて役に立つのは、文法より単語である。『出発する』とか『100グラム』とか『ここで』のようないかにも旅行中使いそうな表現がでてきたら頑張って覚えておきましょう。

語学勉強といってもあの無味乾燥な中学高校の英語学習の轍を踏まないように。言葉というものは、教科書の中にあるのでなく、それを話す人、その気持ち、表情、その場の空気とともにあると思う。その言葉を話し、日々暮らしている人たちが実際にいて、私たちがほんの少しでもその世界に関われるということです。

このことについて、今回ちょっとした観察をしてみたので、レポートします。ガイドブックのイタリア語紹介の初めの方に「こんばんは」の訳語とともに出ている「ボナセーラ」についてです。

 

     観察レポート  「ボナセーラ」 は 「こんばんは」か?

 

その@ ボンジョルノ(こんにちは)がいつボナセーラに変わるか

観察場所   Bar 商店 プルマン

観察結果   14時頃ボナセーラが現れ初め、15時には完全にボナセーラに変わった

考察      20時頃まで明るい4月のウンブリアで14時台は、未だ日は高く、日本語の「こんばんは」の感覚ではない。

            「こんばんは(いい夜ですね)」の意ではなく、「こんばんが(いい夜になりますように)」の意なのかもしれない。

            季節、地域によってどう変わるかは、今後の研究課題

 

そのA 人はどういうときにボナセーラを言うか

観察場所   同上

観察結果   人は、会う時だけでなく別れる時にもボナセーラを言う。

考察      やはり「いい夜を」(I wish you 〜)のニュアンスのようだ

 

応用      昼前なら別れ際にボナジョルナータという。人がよく言うので真似をする機会を待っていた。

プルマンを降りる時、あれこれ教えてくれた運転手に、お礼の意味も込めて「ボナジョルナータ」と声をかけて下車した。すると「アンケアレイ ボナジョルナータ(あなたも良い一日を)」というNHK講座さながらの返事が追いかけてきた。

 

以上終わり

 

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