死せる水 エグモルト

(データ:2016年4月)

エグモルトAigues-Mortes)は「死せる水」。中世期栄えた地中海の港が、土砂の堆積により港の機能を奪われ、衰退していった歴史を持つ。ちょっと行きにくい場所ながら、象徴的なその名と、完全に残される長方形の城壁の写真が印象的で、昔から行きたい場所の一つであった。

完全に城壁に囲まれるエグモルト旧市街に向かう

 

◇城壁について

 長方形を完全に一周出来る(これは珍しいと思う)が、アクセスはコンスタンス塔のみ。勿論、城塔は各所に配置されているが、上り下りは出来なかった。結局どちら廻りで歩くにせよ、一周して下りることになる。

 

 ドーム形の天井を二つ重ねたコンスタンス塔以外にも、一周する間の複数の城塔で、町の繁栄と衰退を記録する展示があり、城内の光景のいつまでも変わらない凡庸さに比べ、割に面白かった。

 

 城壁上から見える海面が、ピンク色に染まっていたのは、塩田に何か関係があるのかもしれない。遠くに塩と思われる真っ白なものが見えた。

 

◇町の教会

 観光的に名のあるものではなさそうだが、ステンドグラスが通常の宗教的な絵柄でなく、それぞれ一つの色をモチーフとする現代アートの様で面白かった。

 

コンスタンス塔から「長方形」の内部を見る ⇒ 

城壁上から見ると、旧市街の屋根の波はほぼ、同じ高さで見渡すことになる

◇アクセス

 ニームからバス。これは、SNCFの鉄道路線廃止後の代行バス。(「歩き方」では最新刊(1718版)でも鉄路が残っているように書かれているが、訂正が遅れていると思われる)

 

 ニーム駅をメイン(centre ville)とは逆の出口に出て、右手方向、1番のバス停に来る黄色のバスがそれ。有名観光地行きの雰囲気はなく、乗客は殆どが地元の人たちのようであった。行先もエグモルトでなく、Le Gran du Roi であることに注意。バスは、旧SNCF駅をつないで走り、1時間ほどでエグモルトの小さな旧駅舎に到着。

 

 バス停から町の入り口、ガルデット門まで5分ほど。左の写真がその途中で、左側がガルデット門、右の塔がエグモルトのシンボル、コンスタンス塔。

 

 

◇町の印象

 ネルトリンゲンが、ほぼ完全な円形を持つのに対して、エグモルトはほぼ完全な長方形の城壁を持つ。

 

 ただ、城壁の上を歩いて一周してみて思ったのであるが、この町は城壁しかない。城壁の高さは、家々の屋根より若干高いくらいで、城壁の中に殆ど高い建物はなく、町の教会の塔もそう高くない。土地の起伏は全くなく、長方形を埋め尽くす赤茶色の瓦屋根の海は平凡。城壁を降りて、旧市街の中を歩いてみても印象は変わらず、この町は城壁と海に近い城外の光景が全てであろうと思われた。

 

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