円形の中世都市 ネルトリンゲン

(データ:2011年4月)

◇円形の中世都市

 ロマンティック街道でローテンブルク、ディンケンスビュール、ネルトリンゲンと続くハイライトを構成する。知名度では他の2都市に劣るものの、逆に言えば観光客の姿が目立たず、ありのままの中世都市を見ることができます。

 珍しいのはこの町がほぼ完全な円形であること。これは他に例を見ないのでは。この町は大昔に隕石がぶつかってできたというクレーターの中にあるが、さすがにそれとこれとは関係ないか。ヨーロッパの都市につきものの川はなく、地形の高低差もありません。ネルトリンゲンの地図を見ると円形の城壁の中心に聖ゲオルグ教会がありますが、両者の中間に半分の縮尺の円形があることに気付きます。おそらくこれが最初の城壁で、教会を中心とする円形の町を作り、後世にこれを壊して拡張した結果、現在の大きな円形ができたのではないかと想像しています。(なお、この「初期の城壁跡」に沿って何か痕跡が無いかと歩いてみましたが、現在は、旧市街の中で車を通す道になっており、歩いて楽しい道ではありませんでした)

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城壁から見られたひとこま

ドイツ人の家周りの仕事に熱心な事には定評があります

城壁は町のシンボル「ダニエル」を眺めつつ一周します

 

◇城壁一周

宿を見つけて荷物を下ろしたら、先ずは城壁に上がって一周してみましょう。私はBergen門から時計回りに歩きましたが、勿論どこからでも可。聖ゲオルグ教会は城壁のなす円の中心に位置するのでどこからでも等距離。歩いていると徐々に方向が変わりダニエルの見え方や陽の射す向きが変わる。Bergen門の南側に少し通れないところがありますが、9割方城壁の上を歩けます。

(歩いている視点からの光景⇒)  

 

◇ダニエル

全部で400段近くあって、息が切れます。見下ろすと足がすくむ高さ。家並みや城壁外の緑地はきれいに見えるものの、ネルトリンゲンの「円形」は判然としません。これは町のパンフレットの表紙に見られるような航空写真の方が良いようです。塔に上がるなら城壁を一周した後の方が良いかもしれません。歩いてきた城壁の上の通路がはっきり見えています。

 

◇“So, Gsell, so!”〜 the watchmans cry

私がこの町で最も気に入ったものがこれ。 the watchmans cry はパンフの英語表記の転記ですが、日本語ならば「夜警の呼わばり」でしょうか。他にあの雰囲気を表す訳が思い当たりません。ダニエルから発せられ、夜の町に響きわたるこの声は、中世の記憶を呼び起こすかのようです。

幸いダニエルの真下の宿にいて、窓を開け放ってワインを飲み続けていたので、全て聞くことができました。スタートは10時の鐘の後。数秒置いてもう一回流れる。酔っ払いが復唱して叫んでいました。その後30分おきに2回ずつ流れましたが、最後の方、11時半と0時は一回だけでした。

◇アクセス

一般的にはヨーロッパバスということになると思うが、この町は鉄道でのアクセスも比較的楽。COOKTABLE926記載のローカル線上にあり、ドナウベルトからとだ30分(毎時一本)。

広い耕地に小さな町が点在する車窓風景はローカル線らしい長閑な感じがあります。私はネルトリンゲンに宿泊した翌朝、ULMに向かいました。途中、列車行き違いのため小駅で列車が止ったのが丁度8時。列車のエンジンが切れて朝の静寂の中にあったところに村の鐘が鳴り渡りました。

 

◇旧市街へ

列車が駅に近づくと聖ゲオルグ教会の塔(ダニエル)が目に入るので迷う心配はない。駅は勿論城壁の外であるが、駅前の道を右に行っても左に行っても城門に行きあたります。城門をくぐって道なりに進めば聖ゲオルグ教会(マルクト広場)に行きつきます。

はこの広場に面する建物の一階にある。初め閉まっているのかと思いつつ戸口に立ったら、扉が自動で開いてびっくり(スライドするガラスのドアでなく、重い木の扉が開いた)。窓口は開いていなかったが、英語表記の地図やパンフレット類が手に入る。

 

◇宿について

聖ゲオルグ教会周辺を歩きまわれば、いくつか宿のサインが見つかる。私がお勧めしたいのは、教会のすぐ横、というよりダニエルの真下と言った方が良い位置に同じ値段を掲げる2軒Gasthausがある、その向かって右側の宿。部屋の窓を開けると道を挟んだ10m先にダニエルの石壁、その左側に広場が見えて申し分ない(左側の宿だと広場は多分見えない)。この好位置にしてトイレ・シャワー付25ユーロ(朝食付きは32ユーロ)は超リーズナブル。

 

◇レストランRoter Ochse紹介

ダニエルからBaldinger門に向かって数分歩くと、左手にあります。(Baldlinger Strasse 17

英語であれこれ教えてくれた土産物屋の親父が、ドイツ料理を食べるならここだと勧めていた店。食堂と言っていい雰囲気の店で、Tシャツにジーンズ姿のお兄さんが横の椅子に腰かけて料理の説明をしてくれた。ガイドブックでシュバイネブラ―テンと認められる肉料理とビールで12.5ユーロとリーズナブル。美味しかったが、ドイツでレストランに入った経験に乏しく他との比較ができません。

 

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◇スーパーマーケット

 Baldinger門を出た先に大型スーパーがあり、ワインや食材を安く買えます。

 

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