ポルトガル南岸の町 ポルティマン/アルブフェイラ

(データ:1984年1月)

冬のアルブフェイラ

 

◇アルブフェイラ

Vila Real de S. A.からだとTunesに着く手前にある海岸の町。駅は町から7キロ離れているが、バスの便がある。タンジール(モロッコ)で行動を共にしたジェニーが「南ポルトガルで訪れるなら絶対ここ」とわざわざメモに書いてまで渡してくれたアルブフェイラであったが、着いてみるとここはリゾート地であった。彼らはどこかでキャンプして自然を満喫したのだろう。バックパッカー同士の情報交換は貴重であるのだが、彼我の旅のスタイルの違い、求めるものの違いということがあって、ときにはこういうはずれがある。(まあ、ジェニーの言い様から期待を持ち過ぎただけであって、そう悪いところでもありません。シーズンオフで静かであったし、今となっては良い思い出の一つです。)

因みにイベリア半島はアラブ民族の勢力下にあった時期が長く、その影響は建築物などに色濃く残るが、このアルブフェイラという名前、アラブからきているそうな。アルブの付く地名は他にもあると誰かに聞いたか何かで読んだかしているのだが、真偽は確認していない。

 

◇南ポルトガルの春

一月であったが、かなり暖かく、列車から見ていると緑の野に黄色の花が咲いていて春を感じた。当時の日記に梅の花が満開であるとあるが、どうもこれはアーモンドの間違いのようである。

◇港町ポルティマン

リスボンから南下する鉄道がポルトガル南岸にぶつかる町がTunes。ここで鉄路は東西に別れ、それぞれ海沿いに進む。西に行けばLagos、沢木耕太郎の傑作『深夜特急』の終着点サグレス岬はその先である。一方、東に行けば「ポルトガルへの道」に紹介した、対岸にスペインを望む町Vila Real de Sant Antonioである。

私は午後の船でスペインからポルトガルに入国した。リスボン行きの列車に乗り継いだが、リスボン到着が夜遅い時間になるので、リスクを避けてTunesで途中下車。ところがこれが裏目で、HOTELもPENSAO(ペンション)も見当たらない。駅に戻って尋ねるとここには泊まるところは無いという。すでに日は暮れている。私の困り顔を見て、駅員はもうすぐLagos行きの列車がある、Portimaoで下車すれば何とかなるだろうと教えてくれた。

こうしてポルティマンにやって来た。ポルトガルで初めての宿泊となる駅前旅館は朝食、シャワー付のちゃんとした部屋で500ESC(900円)。スペインに比べてもさらに安く、驚いた。

翌朝、港の辺りをぶらぶら散歩。漁港であり、魚の臭いが強い。ロッドスチュワートそっくりのお兄さんが網の手入れをしていた。

 

◇ローカル線の風情

ポルトガル国鉄はスペイン同様広軌道なのだが、TunesからLagos行きに乗ったとき、その幅の広さに驚いた。日本と同じ開放式で、片側3人掛けになっているが、新幹線よりまだ幅がある感じだ。この車両、豆電球を少し大きくしたような裸電球が点々とあるばかりで車内は薄暗く、暗闇の中をごとごとと走る。宿の決まっていない心細さをひしひしと感じさせてくれるローカル線の風情でありました。

 

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