アルファマ

 

 はじめにお断りしておくが、リスボンはアルファマだけではない。アルファマなくともリスボ

ンに漂う哀愁の魅力は変らないだろう。しかしとはいえアルファマである。リスボンを訪れたら

先ずはアルファマに足を向けたい。

 

 アルファマは斜面に付けられた迷路の集積である。それ自体が見所なのであって、好きなよう

に迷い歩くのが良い。もし数日リスボンに滞在するなら午前か午後かをアルファマ歩きに充てま

しょう。

という訳でこの項、以下は私の個人的体験記です。

 

 

 

『石畳の坂道の無秩序な集積で、狭い道の両側の家からは洗濯物がぶら下がり、子供たちが駆け回っており、多くの窓にはおばあさんが顔を覗かせており、つまり何より素晴しいのは、この地区が生活臭で満ち溢れていることであるこの狭い石畳の道に茶色の鶏が歩いていたりする。』(84年2月2日)

 

 

 

『夜のこの町の雰囲気も独特。ラジオでやっているのか、同じ曲が歩くごとにいくつかの家からもれ聞こえてきて哀調を添える』(84年2月4日)

 

 

 

 

 

『上へ上へと歩き、サンタルチアの展望台からごちゃごちゃした旧市街を展望する。さらに上っていってサンジョルジュ城に至る』(84年2月2日)

 

 

 

 

 

 

 

『表面が剥げ落ちた、あるいは崩れ落ちた壁と、たくさんの洗濯物と。見えるものは毎日同じ光景だろうに窓から顔を出している人のなんと多いことか。一体何を考えているのかじっと外を見ている人もいれば、窓辺同士、あるいは道行く人とさかんに話をする人もいる。歩いているとしばしば彫刻の施された水道や白地に青で差う食されたタイル絵のある壁に出くわす』(84年2月6日)

 

 

 

『アルファマは貧しい地区だが、住んでいる人の強い生活力を感させる』(84年2月6日)

 

 

ある家の戸口 かすかな記憶では、隅の金網は鶏を飼うためのものだったと思う。出てしまっている(右手)し、少なくとも日中はそこらを歩き回っているしで自信ないのだが。

 

 

 

サンジョルジュ城から4月25日橋に沈む夕日を見る。

 

『サンジョルジュ城からの眺めは絶景で、朝の風が心地よい。テージョ河は海のようで、クリスト・レイのあるあたりは対岸が近いものの左手の方は果てが見えない。バイシャ地区を眼下におさめるほか、ポンパル広場やサンジュスタのエレベーター、発見のモニュメント(意外に近い)などよく見える』(95年12月28日)

 

 

 

サンジョルジュ城からの眺めについて、84年の時は『市街地を展望するが、エドアルド7世公園からの眺めやアルファマを上から見るサンタルチアの展望台に劣る。ここの良さは港の眺めにあるがそれも夕日があってこそ』とこき下ろしていました。まあ印象はその時その時ということですね。

 

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