≪2005フランス≫

煉瓦色の町 アルビ

◇煉瓦色の町

建物が煉瓦造りであるということは、それだけで町全体の印象を決めてしまうほどの強いものがあります。煉瓦の町といえば「薔薇色の町」トゥールーズが知られていますが、ここアルビも同じく煉瓦で造られた町です。建築資材の選好はその土地の地質との関係でしょうから、ひょっとするとここら一帯は煉瓦の町ベルトなのかもしれません。

アルビ旧市街

(「GOLD CIRCUIT」の途中で)

ポップで明るい、これがフランスの旧市街の魅力であろうか。

迷路状に入り組む路地の光と影や重厚さが魅力のイタリアの旧市街と比べてみてください。(例えばペルージャ

 

◇ロートレック美術館

アルビはロートレックの出身地であり、内部の公開はされていないが、GOLD CIRCUITの途中では生家を見ることが出来る。アルビに来て初めて知ったのだがロートレックと言うのは肉体的なハンディキャップを負った人物だそうで、そう思えばあの皮肉っぽい画面も頷ける。ロートレック美術館ではそれが先入観念になってしまったせいか、いかにもひねくれた朗らかさのない精神が宿っているようで、何だか疲れました。愛好者でなければ入らなくてもいいのでは…

むしろタルン川のほとり、川と対岸の町を見下ろす位置に建つというところにこの美術館のよさがある。建物も美術館と言うよりは、多分、富豪の館だったのではないか。入場しなくても、脇から川の側のテラスに抜けて、ベンチで眺めを楽しむことが出来る。タルン川にかかる新橋と旧橋の高低差がいい。

 

◇宿について

経済性を追求するなら迷わず駅前の宿に荷物を下ろそう。複数あるので一番安いところにすればよい。20ユーロを少しでる程度で泊まれるはずだ。

しかしこの町の旧市街の中に泊まる魅力も捨てがたい。iでくれたホテルリストによると旧市街に宿は2軒。HOTEL SAINT CLAIRは上の写真の位置で右を向いた場所にある。中高年向きの中級ホテルだが、お勧めは31、32号室。4階に2部屋だけある屋根裏部屋で、天窓から光が射すいい部屋であった。36ユーロ。もうひとつの LE VIEIL-ALBY はさらに高めの料金設定。ここは階下のレストランを利用した。雰囲気も料理も良く勧められる。

 

◇秘境コンク

山中に眠るがごとき小さな村ですが、サンチャゴの道の巡礼路として有名。ル・ピュイを起点とするルートの途上にあり、さらに進むとモワサックに至る。

秘境といってもRODEZからバス便はある。ただこれが行きが夕方、戻りが早朝の一本のみ。つまり行ってからの宿探しは立往生してしまう恐れがある。またこれはスクールバスなのでしばしば運休する。また、鉄道最寄り駅がべつにあって、ナヴェットを利用する選択肢もあるようだ。(私は今回断念したのでこれ以上は不明)

◇アクセス

トゥールーズ−RODEZ間にある。トゥールーズから1時間ほど。1時間に1、2便の割で出ており、行きやすい。尚RODEZは「秘境」コンクへのバスが出る町である。(別項)

 

◇アクセス(その2)

この町は中心までのアプローチがなかなかいいので書いておきたい。駅前は何の変哲も無い地方都市のもの。安宿が4,5軒並ぶ駅前の道を左の方に進むと、角に薬屋のある四辻にいたる。これを左折して少し行くとラペルーズ広場。ここまでは平凡な町なのだが、広場を横切ると中世の町が待っている。城門を抜ける訳でもなく、空間を移動するだけで世界が変わるのが面白かった。

 

◇サントセシル教会

旧市街のメインストリートをそのまま歩き続けると、サントセシル教会に至る。その威容に見上げた瞬間足が止まるはずである。要塞という言葉の方が似合うおよそ教会らしからぬ異様な佇まい。何でも壁の高さは40mもあるそうだ。

さらにこの教会は内部の装飾、工藝が非常に素晴しい。内陣などは有料であるが必見。その内陣のレリーフを見ていたら突然、後ろで男性コーラスが始まった。驚いて振り向くと内陣後方に7人の男が等間隔に立ち、この世のものとは思われぬ美声(因みにアカペラと言うのはイタリア語のア・カペッラ〈教会にて、あるいは教会風かな〉が語源だそうですね)を送り出している。とても印象に残る体験であった。ところで、これはチップ稼ぎかと思ったが、そうではなく、CDのプロモなのでありました。

 

◇アルビの歩き方

まずサントセシル教会とロートレック美術館に挟まれた位置にあるに行って町の地図を入手する。地図にはアルビを知るための3つの見学順路が示されている。

私は旧市街を回るGOLD CIRCUITとタルン川対岸に渡る AZURE(青) CIRCUITとを組み合わせました。これは一種のオリエンテーリングで、見学ポイントには、CIRCUITを回っているのでなければ見落としそうなさりげなさで案内板があって、発見の喜びがあって結構楽しめます。もちろんコース自体も素晴しく、商館あり教会ありまた立体迷路のようなトリッキィな小路ありで、しかもその半数は公開されていて、塔に上ったり、今は現代的な用途に使われていたり、日常生活が営まれていたりする場を少し覗き見したり出来ます。歩いていくうちに、素晴しいのはコースではなくてアルビの町そのものだということが分かるというなかなかにくい仕掛けになっています。

新橋から見るタルン川と旧橋、左の偉容はSt.セシル教会

AZURE CIRCUITは対岸に渡るコース

川の眺め、対岸の町並み、対岸から見る旧市街いずれもいい

 

◇食料品店

旧市街の中に見当たらなかった。駅からラペルーズ広場に向かう途中の左側にスーパーが一軒。但しこれは19時閉店。それ以降は、駅前の道の薬屋のある角を左折(ラペルーズ広場方面)でなく、右折する方向に400mほど進むと右側に開いている商店がある。

実は私、食料を調達し損ねまして、ラペルーズ広場のBARの兄ちゃんに、そこの白ワイン(瓶)を売ってくれと泣きついたところ、教えてくれたものです。(ああいうところは飲ませても売らないんですね)

 

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