門前町
(データ:2012年4月)
「門前町」の定義もこの町の歴史も実は知らないのであるが、ソーヌ川のほとりに立つサン・フィリベール教会の威容、その足元、川に沿って細長く伸びる古い街並みを見ると、門前町という言葉が浮かんでしまう訳です。今回のフランス行きで最も印象に残る町でした。 なお「トゥルニュス」は、下の「中世の町―風景―」で著者がトゥルニュと言ったところ、トゥルニュスと読むようだと訂正されたエピソードに依っています。Tournusの読みについては次のサイトの下の方にコメントがあります。 http://www.bourgognissimo.com/Bourgogne/1ARTL/BR_006_3.htm サン・フィリベール教会の前で 聖人の日か何かだったのか、朝のミサの参列者は皆小枝を手にしていた。 ◇中世の町―風景―より 「いかにもフランスらしい風景を隅々に漂わせた、長閑な田舎町だった。ここも狭くて不規則な路地がゴテゴテと入り組んで、特に中世的というほどでもないが、ユトリロあたり好んで描きそうな古い家並―彼はパリの裏町だけでなく古い田舎町も描いている―別に綺麗でもないのに垢抜けしてスマートな、ドイツにもイギリスにもない路地裏がくねくねとつづく。この町には、なかなかいいロマネスク、ヴェズレ―のマドレーヌよりも古拙な良さがあるかと思われる聖堂がある。」 …こういった記述が、私には非常に腑に落ちるものがありました。 なお、同書には、ソーヌ川で大きな魚を釣り上げる漁師のエピソードが語られていますが、やはりソーヌ川には魚を釣る人の姿がひとりあり、数十年の時を隔てて奇妙な感じでありました。 |
◇アクセス Tournus駅はCOOKに記載はないが、ディジョンーリヨンの幹線上にあり、アクセスは容易。両都市間は在来線で丁度2時間。どちらからも、1時間くらいか。この辺りの車窓風景は美しい。 駅前の道を右に進めば、すぐに町のシンボル、サン・フィリベール教会が左手にその雄姿を現す。 ◇旧市街 駅からほど近いサン・フィリベール教会が散策の起点。小さな町に不似合いな程の威容を誇るロマネスク教会。床下から発見された鮮やかなモザイク画や地下のクリプト、中2階の小部屋など、結構見るものがある。教会の裏側の家並みの一画に公衆トイレがあります。 教会から川沿いに南方向、駅に背を向ける方向に道を選んで進むと、川に並行して伸びる旧市街のメインストリートを歩いていることになる筈です。右に左に湾曲しながら続いている感じが良い。 この旧市街に珍しい見物があります。場所を説明するのが難しいのですが、メインストリートの途中、T字型の3叉路を右に折れて少し進むと左手に現れる路地がその入り口。表通りに沿って並ぶ古い建物の裏手、生活用の路地というか、勝手口を連ねたような細い路地が、ずっと続いています。果たして中世期から来ているものなのかどうか、片方は表通りにぶつかり、逆の端は行き止まりになって廃水が流れ込んでいました。 この道を入って来た方と反対側に出ると「オテル・デュー」の正面に出ます。「オテル・デュー」はボーヌだけではないのでした。やはり両壁際にベッドの縦に並ぶ部屋が男用、女用、負傷兵士用と3つある。隣接するのは、当地出身の画家Greuzeの作品を展示する美術館。上階の展示室から緑の芝生の中央にマリア像の立つ中庭を見下ろしたり、町の屋根の連なりを見るのも良く、居心地の良い場所であった。 ずっと歩いて行った先、メインストリートのサン・フィリベール教会と反対側の端にもう一つ、大きくは無いが、古びた教会があります。正面の扉が大きく開かれていて、暗い堂内から明るい旧市街を眺められたのは良かった。 ◇レストラン 町なかに如何にも入ってみたくなるような小さなビストロが2、3軒。宿を兼業しているところもありました。 ほかに駅前に、ちょっとファミレス的で入り易い感じのレストランが一軒あります。 |