イギリスのこと

 

1982719日(月)早朝、私はロンドン・ヒースロー空港に・・・

 

などと、つい書いてみたくなる。イギリスは私にとって初めてヨーロッパの土を踏んだ地であり、あれやこれや思い出深い。初日などは、殆ど舞い上がっていて、ふわふわと足が地に着かなかった感じが今でもありありと思い出される。ところが、本人の思い入れとは裏腹に私のイギリスへの訪問はこの1982年夏と1986年冬に限られるのである。従ってこのイギリス編も印象記として控え目にやっていこうと思います。

 

このHPの出発点である初期「歩き方」を見ると、旅のし易さを考えて、ロンドン・イン/パリ・アウトのルート設定を推奨し、そしてあたかもそれが所与のごとく、例えばドーバーの渡り方に多くのページを割いている。まあ何というか時代を感じさせる内容であるのだが、しかしヨーロッパ初心者ならずともイギリスが旅行しやすい国であることは間違いないだろう。具体的には、町も人も穏やかである、英語が通じる、B&Bというシステムがある、フィッシュ&チップスのようなファーストフードが適度にある、といったことで、何より、バスが何時に来るかと問えば、誰に聞いても同じ返事が返ってくるし、その時間になると確かにバスが来る。南ヨーロッパあたりと違って、社会の仕組みがきちんとしているところが旅行者にとっては助かる。

 

もうひとつ思うのが、日本の外来文化の受容の仕方ということなのだが、外国といえばイギリスというところがかなりあるのではないか。だからイギリスを訪れると、自分が成長してきた過程で無意識のうちに取り込んできた「外国」を目の当たりにする安心感があるような気がする。例えば、子どもの頃夢中で読んだシャーロックホームズ。この名探偵の有名な住所はベーカー街221b番地ですが、表し方が我が家の住所と感じがちがうなーと思っても、そこは子どもの柔軟さで、外国だからそうなんだろうと自然に頭の中の収まるところに収めていきます。ところが、実際にBAKER STREETに立つと、「ベーカー街」の表記は、そういうことだったのか、と合点がいくわけです。イギリスを歩いていると、今まで無意識のうちに蓄積してきたこと符丁が合うことからくる安心感があると思います。

 

 

◇イギリスと大陸ヨーロッパ

 

まあ2回、それもごく短期間しか行ってないとあっては、説得力もありませんが、イギリス人はヨーロッパ人という大ぐくりのなかでは、かなり変った存在なのでは。紅茶の愛好、イングリッシュブレックファスト、グルメへの冷淡さなど食習慣の違いはわかり易いですが、ほかにも町の造り方など、町を歩いていて受ける印象は大陸とはかなり違います。また例えば同じ国でありながら、スコットランドでは我々はイングランドとは違うと、BANK OF SCOTLAND発行の紙幣を独自に流通させていた(例えば日本で、九州に行くと、九州人が九州円で買い物をしている状態。現在どうなっているかはか知りませんが)ことなど、よく言われる偏屈な傾向が想像されます。

同じ島国どうしの日本人ですから、そういう目でイギリスを観察するのもおもしろいのでは?

 

 

B&Bについて

 

私はこれは他の国に無い、イギリス旅行の楽しみだと思うのです。近頃は他の国でもB&Bを標榜する宿があり、まあプチホテルなどいう気持ち悪い名称を平気で使う宿があるぐらいですからそのこと自体はどうでもいいのですが、あれは単なる朝食つきの安宿ということであって、本家のB&Bはそういうものではない。イギリスのB&Bでもロンドンなど大都市においては実態はホテルですが、田舎においては、Mr.&Mrs.〇〇〇さんの家であって、正に民宿なのです。ご主人の太い腕が私がかついできたザックをヒョイと持ち上げるのに驚かされたり、午後の紅茶に呼ばれて家の人や同宿者と話をしたり、むしろ日本の旧来型の民宿に感じが似ています。帰宅した時は、ただいまと声をかける感じです。(今も変わってないといいのだが…)

 

  (このページはいつかイギリスを再訪した時に書き足す予定)

 

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