ローテンブルグ

(データ:1982年8月)

城壁の上を歩く

 

ドイツ編表紙の二枚の写真はいずれもローテンブルグです。町なかの写真はガイドブック等にもあふれているので、ここではらしからぬ変った写真を。

町の外へ

こんな道が続いていれば進むしかない!

 

麦畑

 

ローテンブルグ遠望

◇城壁を歩く

ローテンブルグはドイツ観光のハイライトであり、町中観光客が埋め尽くす感がある。それを割り引いても「ドイツについて」に書いたような中世都市の魅力を最もストレートに伝える町であり、ここを避けて通る訳には行かない。

町に着いたら城壁の上を歩いて一周することを勧めます。ブルグ公園あたりが切れているが、後はずっと歩いていける。ブルク公園に行ってタウバー河を眺めながら城壁に沿って右方向に歩いて行くと石段の付いている塔があるのでそこから城壁の上へ。万里の長城のように完全に左右の眺望があるわけでないのは残念だが、中世都市の様子が良く解り、特に赤い瓦屋根のディテールが印象に残る。いくつもの塔を越え、町の最南端で下に下りる。その先進めば元のブルグ公園である。のんびりいって1時間程。(左写真は途中の光景)

 

◇町の外へ

中世都市は城壁の外と内とをはっきりと区別する。ならば城壁の外に出て、そこはどうなっているか、また外から町を見たらどう見えるか興味があった。で、バスでもらった地図に記載されていたエンゲルスブルグの丘というのを目指して歩いていった。タウバー河はほんの小川で、あたりは豚だの羊だの牛だの牧歌的。谷の向こう側を上がって行くと樹林帯を抜け、農地が広がっている。歩いていると直径10m、高さ5mくらいの土塁があってそこからの谷を挟んで遠望する町の眺めは自分が求めていたものであった。(ピンボケになってしまったのが残念だが写真左下)城壁も数々の塔も良く見えていた。木陰で寝そべっているのは最高であった。

 

◇必見!中世犯罪博物館

ローテンブルグに来ればいやでもヨーロッパ中世について考えさせられるのだが、なかでもこの中世犯罪博物館は極めつけ。残酷な拷問道具のかず数にも辟易とさせられるが、もっと生生しいのが、悪いことをした人を町中のさらし者にして懲らしめるというパターン。酒の飲みすぎには酒樽のヨロイ、賭博に溺れた者には大きなカードやさいころを数珠つなぎにしたものを首からかけるといった具合。恥辱の面や首バイオリンに至っては陰湿な悪意を感じる。それらは実際に使用されたものであり、また毒気に当てられつつ明るい戸外にでればそこにあるのは中世のままのローテンブルグである。

中世というのはどういう時代だったのか。その後この疑問を心の片隅に持ちつつヨーロッパを歩き続けたのですが、どこかで私が思い至った考えは、悪魔と神は実は同じものだったのではないか、というものでした。今ここ日本でこう書くと、自分でもなんのこっちゃという感じですが、どんなものでしょうか。これは確か南仏アルルで怪物のオブジェが建物の修飾に使われているのを見て思いついたと思うのですが、その時は小さな発見でもしたつもりでおりました。

 

◇宿について

観光客でごった返すローテンブルグであるが、宿の心配はしなくて良さそうだ。ローテンブルグへは鉄道が通じていて、列車でのローテンブルグ入りも渋いと思うが、ロマンティック街道のイメージが強いから一般的にはヨーロッパバスでローテンブルグ入りすると思う。南下ルートだと昼過ぎにローテンブルグ入りするのでまず問題ない。(北上ルートだと4時間ほど遅れをとることになる)

私のときはバスが広場に付くや満面笑顔のおばちゃんが寄ってきた。民宿(つまりは自分の家)の客引きなのであった。後はロケーションや値段との相談。永年観光で食ってきている町なので、それなりの用意ができている、という感じであった。(尚ヨーロッパバスは、現在は町の外、鉄道駅前がターミナルになっている模様)

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