階段状ピラミッド サッカラ

(データ:1987年9月)

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サッカラの階段状ピラミッド

 

◇サッカラのピラミッド群

ピラミッドは丘の上にあり、料金所のゲートから坂を上がる。周辺はすでに砂漠の一帯であり、暑さと乾燥に注意。私が行った時はギザと異なり観光客もラクダ引きも少なく静かなものであったが、「歩き方」最新刊によると現在は土産物が並び、客引きがうるさいようである。

高台にはサッカラのシンボルである階段状ピラミッドだけでなく、様々な形のピラミッドや遺跡がある。下の写真はただ岩と砂を盛っただけのようなピラミッド。私は全く知識が無いので話にならないのであるが、それぞれナントカ王の墓である訳で、古代史ファンにはたまらないところなのかも知れない。遠くを見やると砂漠の向こうにピラミッドの影がいくつか見られる。他に何もなく砂しかない広大な砂漠に、一帯全部でいくつあるのか想像もつかないが、ピラミッドが点在する不思議な土地なのであった。

 

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崩れピラミッド

 

◇マリオテーヤ運河

来たら来たで、今度は帰りをどうするかという心配がある。実際には入口に戻ってみると客待ちの車が何台か止まっていて案ずることもなかったのだが、着いた時にはそれは分からないから、運転手と交渉し10ポンド上乗せして戻りの足をお願いした。

車を貸切りにしたのは正解で、ピラミッド通りの4つ辻まで、マリオテーヤ運河沿いの素朴な光景を存分に見ることができた。日干しレンガといったものなのかも知れないが、ぱっと見には土で固めたような家がずっと続き、牛がつながれていたり、カラフルな洗濯物が干されていたりする。運河で洗濯をする人の服も原色で、土色の家とのコントラストがいい。

13ポンドの収入を得た運転手は、道端で手を挙げる人を全て無視して機嫌良く車を走らせる。日本円に換算すれば800円程度のものだが、ひょっとすると彼の一日の稼ぎに匹敵するのかも知れない。4つ辻に着いて10ポンド札を2枚渡すとしわくちゃの札束を繰って1ポンド札5枚を抜いて寄越す。「コラコラ、7ポンドだろ」と言うと、そうだったっけという感じであと2枚探しにかかる。万事芝居がかっていて、こういったやりとりが楽しめるようになるとエジプトの旅は楽になります。

◇クフ王のピラミッドだけがピラミッドではない

ということをエジプトに来て初めて知った。観光写真で見慣れたギザのピラミッドが典型的なものであるにしても、実は階段状のもの、途中で屈折する形のもの、砂と岩を積み上げただけの崩れピラミッドなど結構ヴァリエーションに富んでいるのだ。ピラミッドはカイロ近郊のギザから南の方にかけて、死者の国であるナイル西岸の高台に点々とある。公共の交通機関の有無は定かでなく、嘘しか言わない運ちゃん相手の交渉がいちいち面倒であったが、私はこれらのうちサッカラを訪れた。

 

◇アクセス

カイロからバスに乗ってギザに向かう通称ピラミッドロードの途中、マリオテーヤという名の4つ辻があり、いったん下車。この4つ辻から南に延びる道が数十キロに亘ってサッカラやダフシュールなどピラミッドのある町を数珠つなぎにしている。4つ辻を歩き出せばタクシーの客引きが「ミニバスはないぞ」などと口ぐちにいい加減なことを言ってくるので後は成り行き次第。

 

私の場合は次のようでした。先に乗って待っていた人たちが、サッカラはこの車だと手招きするのに応じる。運転手がサッカラまで3ポンドだというので、先客(地元の人たち)に君たちはいくら払うんだと尋ねてみるが、誰も応えてはくれず、埒が明かないので言い値を呑む。前の座席にドライバーを含めて既に3人乗っているところへさらに体をぶつけるように押し込み、腰を浮かしてようやくドアを閉めて出発。

乗客は乗ったり降りたりを繰り返しながらだんだん減っていって、サッカラに着くときには運ちゃんと私だけになっていた。彼は人懐っこく話しかけてきて、景色の良い所ではスピードを落としてくれたりする。にこやかな顔を見ていると4つ辻での交渉した時のいかつい、恐ろしげな感じが幻であったかの如くであった。

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サッカラの高台からの遠望

地平線中央右寄りに他所のピラミッドが見えている

 

 

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マリオテーヤ運河に沿って土色の家が続く

 

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