カイロの男達(その3)

 

(以下の文章は大分以前に書いたもの。脚色は無く、旅日記を再構成しています)

 

3カイロの子供達

驚くほど大勢の男達が、昼間からすることもなくぶらぶらしている。ルクソールで会ったタイヤという男もそうであったが、一日の大半ブラブラするのが仕事のような男も多い。その代りスークや駅で、小学生位の子どもが学校にも行かず、物を運んだり売ったり、よく働いていた。結構一人前に大人とやりあっていたりして生活力を感じさせる。

エジプトの子供達のたくましさを知りたかったら、王家の谷へ行くのにタクシーでなく、貸し自転車で行くと良い。道の両側から貧しい格好をした子供達が走り出してきて、これ買ってとか、バクシーシ(お金、頂戴)とか、次々に声をかけてくる。自転車の後を追いかけてくる子もいる。毎日観光客が通る度にあれをやっているのである。日本なら社会問題になりそうなものだが、彼らにとって教育よりも生活が大事なのだろうし、皆無邪気で明るい。そういえば、走ってゆく自転車の前でパッとスカートの前をめくって、ケケケと笑う妙なのもいた。

僕はどちらかといえば子どもは好きな方ではないと思うのだが、エジプトの子はカイロの街角で唇を歪めてバクシーシと手を出すガキも含めて皆可愛かった。カイロの喧騒を逃れてムハマンドアリモスクの回廊の柱の下に座って本を読んでいたら、遠足で来たらしい小学生の一団が僕を見つけ、あっという間に彼らにとり囲まれてしまった。“ハロー”“ハロー”口々に叫んで手を差し出す。一つ握ってやると私も私もという感じで、目の前にいくつも手が並ぶ。殆ど全員と握手するまで輪がとけなかった。こういう無邪気さがそのまま大きくなって、あの親切仲良しエジプト人になるのだなと思った。

 

この子達ほぼ全員と握手した

(カイロ・ムハマンドアリモスクにて)

 

 

次の瞬間“バクシーシ”と手が伸びてくることになっている

(カイロの街角にて)

 

 

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