カイロの男達(その1)

 

(以下の文章は大分以前に書いたもの。脚色は無く、旅日記を再構成しています)

 

1。カイロへ

この旅の始まりは、空港の前の駐車場でひとり夜明けを待つという、非常に静かなものであった。空港といっても地方都市の鉄道駅のような簡単な造りである。同じ飛行機でやって来た数十名の人たちはいつの間にかどこかへ行ってしまって、とにかくザックをかつぎ、タクシーやホテルの客引きを振り切って外に出る。広い駐車場の中で適当に居場所を見つけて腰を下ろす。先進国以外の国を本格的に歩くのは初めてのことで、少し神経がぴりぴりしていた。そして夜明けと共に赤白ツートンカラーのなるほどさすがにこれはアフリカだな、という埃まみれのオンボロバスが現れ、恐ろしく乱暴な走り方をするこのオンボロバスが僅か1時間で僕をあの喧騒と混乱の街カイロにほおりこんでくれたのである。

右も左も分からない状態でホテル探し、航空券のリコンファーム、夜行列車の予約等々やらなければいけないことがあったし、とにかくこの街に慣れることから始めようと手当たり次第に歩き回ったが、その疲れること疲れること。道にあふれる人と車、ひっきりなしの車のクラクション、フルボリュームのコーラン、砂埃、暑さ、僕に集まる視線、悪臭、細かく書くときりがないのだけど、やかましさ、異様さ、無秩序さ、いちいち人の神経を逆なでするようなものばかりで、睡眠不足の僕は歩きながら吐き気すら覚えた。こんな町は明日すぐに出てしまおうと思いながら歩いていた。

 

 

夜明けを迎えたカイロ空港

 

 

エジプト到着初日の宿

テーブルの上にヘッドランプとトイレットペーパーが見え、

あのときの苦労が思い出される

 

 

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