西仏国境 アンダイユ (フランス)

(データ:2008年4月)

対岸はスペイン

 

EUSKO TRENによる国境越え(イルン⇒アンダイユ)

フランスースペイン間の移動は、右に書いた事情か、元々旅客が少ないせいなのか分からないが、かなり不便で、同じフランスの隣接国でも、例えばベルギーとの間で大量の便があるのとものすごい違いである。今回私がイルン駅に到着したのは11時半。駅舎に行って接続列車を確認すると夕方まで列車が無い。ところが手段はあるもので、これを紹介するべくこの項を起こした次第。

サン・セバスチャンーイルンーアンダイユ間に私鉄が走っている。イルンの乗り場は分かりにくい。RENFEの駅舎を背にして線路沿いに歩いていくと道は上りになり、右折して線路を越える。そのまま歩くと左手に駅がある。RENFE駅から500mくらいか。周辺は繁華街で、駅があるような気配が全くない。駅も商店の並びといった風情であった。自動改札を抜け階段を下りると線路のある様は、日本のどこかの私鉄駅にいるかのようであった。RENFEと異なり一時間に数本と頻発。程なく列車が現れ、樹脂製の椅子に座っていると5分ほどで終点アンダイユに到着。国境を越えてしまえばその先への便はある。

アンダイユではSNCF(仏国鉄)駅と隣接している。またこの列車は観光地サン・セバスチャンから来ているので、乗り換えるなら何もないイルンよりそちらの方が良いか。また確認はしていないが、「歩き方」に紹介されているオンダリビアという港町もこの路線上にあるようだ。

◇フランスースペイン国境

フランスとスペインの国境にはピレネー山脈が横たわる。サンチャゴ巡礼の皆様、あるいはピレネー山中の独立国アンドラ公国を訪れたい向き、はたまた単なるマイナールートマニア向けの山越えはあれど、一般には海岸沿いのルートをとることになる。

大西洋側が、パリなどからマドリッドやリスボンを目指すHENDAYE―IRUNルート、地中海側がフランス、イタリア、スイスからバルセロナを目指すPORTBOUルート。イベリア半島の2カ国の鉄道の規格が広軌で他のヨーロッパ諸国と異なるため、国境駅で列車の乗換えが必要であるのは有名な話で、ユーレイルパスを握ってヨーロッパ大陸を旅した経験のある人には、これらの地名は懐かしさを持って記憶されているのではないかと思う。かつて私がパリから夜行列車に乗ったときは、早朝、国境駅イルンで降ろされた。パスポートチェックをする簡単な建物を抜けると、ホームの反対側にRENFE(スペイン国鉄)の列車が待っていたのであった。

(なおタルゴその他の特別列車(乗車するのにサプリメントの支払いが必要な列車)は、走りながらレールの幅を調節する仕組みになっているそうで、低速ながら停車することなく国境を通過する。)

 

◇アンダイユの町

駅前にあった剥げかけた地図を頼りに町の中心らしいところを目指してみた。線路沿いに坂を上がって行き、上がりきったところで左折して跨線橋を越える。その先に町があって、Hotel de Ville(役場?)を見つける。坂を下ると港になっていて対岸にスペイン領が見えていた。(上の写真)駅からここまで10分ほど。

観光地でない普通の町を歩く良さはあったかもしれない。跨線橋のすぐ先にテイクアウトの店があって、丁度昼時でトルティージャのいい匂いが流れていた。つられて入って一切れ購入。量を訊かれて咄嗟にウン・クワルト(4分の一の積り)と口走ると、スペイン語を話すのかと喜ばれ、次々に質問を浴びせられて閉口した。国境を越えても目と鼻の先はスペイン。町なか、ケータイでしゃべる声もスペイン語であった。

 

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