銀の道 プラセンシア

データ:1992年12月)

カテドラルとオレンジの街路樹

 

◇アクセス

マドリッドから3時間半。幹線から引っ込んおり、Monfragueで乗り換える。プラセンシアまで15分ほど。マドリッドからの直通列車もありそう不便でも無い。

駅は町外れで、駅前には何も無いといういつものパターンだが、がらんとした駅舎を出てみると、立派なカテドラルを中心に丘のように盛り上がる町が歩いていける距離に見えている。15分ほど歩くと川があり、橋を渡って町に入る。

 

について

どこの国でも多かれ少なかれというのは愛想の良いものではない。スペインの場合、加えて英語が通じないことが多く、特に話が込み入ると、取り付く島が無くなることがある。この町ののおねえさんは英語を話し、それをいいことにこちらがあれこれ尋ねるのに、あちこち電話をかけてまで調べてくれた。思うに親切さは訪れる観光客の数と反比例するようである。まあ来る奴来る奴同じようなことを尋ねるのだろうから嫌にもなろうが、町なかで人にものを尋ねたときに返ってくる笑顔とのギャップは大きい。

◇銀の道

サンチャゴ巡礼の道ほどには知られていないが、スペイン北部カンタブリア地方より南下、エストレマドゥーラを縦断してセビリアに至る銀の道というのがある。巡礼の道との違いは、信州の塩の道や近江の鯖街道と同様、物資の輸送ルートであること。はるか昔ローマ期に開かれたもので、カンタブリアから陸路運ばれてきた金や銀はセビリアからグアダルキビル川を下り、海路ローマ帝国にもちこまれたそうである。

プラセンシアはこの銀の道の中ほどに位置する城壁都市である。私はその名の語感の良さと、もう一つ下に述べる理由で訪れたのであるが、なかなか見応えのあるいい町であった。「歩き方」を始め市販のガイドブックがどこも取上げていないのが不思議なぐらいだ。

 

◇幻のルート

その時手にしていた地図には、鉄路がプラセンシアから北に延びていて、サラマンカに通じていた。エストレマドゥーラからマドリッドに向かわずに、銀の道を遡上するルートは素朴そうで、これは掘り出し物と勇んだのである。しかし、いってみるとCOOKの表示通り列車はプラセンシア止まりなのであった。左に書いたi のおねえさんが、数年前に廃線になったのだと教えてくれた。(この人はサラマンカ大学に通っていた由)

スペインを愛した故天本英世氏(平成教育委員会の「天本君」ですね)に「スペイン巡礼」「スペイン回想」という素晴しい著書がある。そこでカンデラリオ、アルベルカといった美しい山村が紹介されており、その基点となるベハールがプラセンシアとサマランカの中間にあるのだ。路線バスはあるようだったが、この日は生憎大晦日、明日は正月というタイミングが悪く運休していた。

 

前に戻る  トップページに戻る