港町  アルへシラス

(データ:1984年12月)

ジブラルタル海峡の落陽

 

 

 

◇港町アルへシラス

さすがに船員風やアラブ風が目立つ。猥雑な雰囲気はモロッコと対峙する港町らしい。夜歩いていると暗がりからハッシッシ売りが寄って来た。船着場の近くに旅客や船員相手の安宿が多くある。私は人の部屋を通らないと自分の部屋にたどり着けないというとんでもないところに泊まった。裸電球のぶら下がる部屋でシュラフにくるまり、気の小さい私は明日のモロッコ行きのことを考え鬱々としておりました。

 

 

 

スポットライトの当たるジブラルタル海峡

(アルへシラス−タリファ間のバスから)

海峡の向こうの陸地はアフリカ大陸

◇モロッコへの道

スペインを旅するバックパッカー達はアルへシラスの名を交錯する思いを持って目にし、耳にしてきた。ピレネーを越え南へ南へと旅してアンダルシアに至れば、ヨーロッパ大陸はそこでつきて地中海が広がるばかりである。しかしアルへシラスならばジブラルタル海峡を渡ればアフリカ大陸という未知の世界がほんの数時間の船旅の向こうに待っているのである。なんたってアフリカである、サハラへと続く大地に立てる、行ってみたい、しかし聞かされるのは恐ろしげな話ばかり、ガイドブックにあるdangerousの文字がひっかかる・・・

旅人の旅人たる所以はフロンティアを目指すところにある。先日イラクで命を落とした青年も、軽率だというのは、もちろん常識的な、しかし一面からの見方であり、彼がフロンティアの先を見てみたかった気持ちは同じバックパッカーとして理解できる。

 

◇アクセス(鉄道)

グラナダあるいはコルドバからロンダ経由で入る。列車はオリーブ畑や丈の低い草とゴツゴツした岩肌の交じるスペイン的風景の中を進む。馬が走っていたり老農夫が仕事の手を休めてこちらを見ていたりする。左手にジブラルタル(英領)の岩山が見えて到着の近いことを知る。アルへシラスはそのおっかないイメージとは逆に周囲を茶色の牛が群れる美しい牧草地に囲まれていた。

 

◇アクセス(バス・・マラガ方面から)

エステポナから1時間余り。エステポナにいるなら東より西に向かいたい。エステポナーマラガ間は金持ちヨーロッパ人の別荘地であり、有名な白い村が点在するが私には観光地化しすぎているように思われ、ちょっと行く気がしない。

 

◇アクセス(バス…カディス方面から)

コスタデラルス(光海岸)を行く景勝ルートである。緩やかな起伏をもちつつ海へと至る牧草地を走る。道の両側牛や馬が放牧されていて見飽きない。空の青、草の緑、コルクの濃い緑の取り合わせが美しい。アラブ風の町タリファを過ぎた丘の上に何百基とも思われる風車がアフリカからの風を受けて回っている光景は壮観。アフリカ大陸も海の回廊の向こうに見えている。やがてバスは下ってアルへシラスに至る。カディスから2時間ほど。途中ベヘールという丘の上の魅力的な白い村を経由する。

 

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