チューリッヒ

(データ:1985年9月)

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9月中旬のチューリヒ

すっかり秋の気配 セーター必携

 

◇宿について

やはりまずYHから考えることになると思う。ただ私の場合、右の事情から、旅の最後の夜はシングルルームにしようということで、YHに泊まっていない。泊まった2つの宿は共に推薦できる宿なので以下に紹介したいと思います。

 

◇Justinus−Heim

チューリッヒの北東に結構高い丘があってその上にある。徒歩で行くのはしんどいが、途中に無人運転のケーブルカーがあって(スイスについて」に書いたのがこれ)、乗ってしまえば宿は上の駅のすぐ前。行き方等詳しくは駅のiにて。

ここはホテルではない。泊まった感じだと下宿屋のようであった。恐らく市内最安である上、ずっと上ってきただけあって眺めがいい。私のときは雪が降りしきっていてチューリッヒの夜景は見逃しましたが、静寂の中で窓辺の雪を眺めつつ、長い旅のあれやこれやを振り返っていたのでありました。

 

◇Hotel Rothas

リマト河畔からマルクト小路を上がってニーダードルフ通りの交わる角にあります。窓を開けると通りのざわめきが飛び込む、ヨーロッパの安宿の理想のような宿です。私は二度宿泊しましたが、うち一度は土曜日で、通りは遅くまで人通りの途切れることはなく、丁度部屋の窓から大道芸人のパフォーマンスを見ることができました。(右写真)窓辺にワインのボトルとグラスを置いて、しみじみヨーロッパにいる幸せをかみしめたのでありました。

◇印象

ヨーロッパに行くとき考える事のひとつに、航空券をどう買うかということがある。行き先を決めてから安いチケットを探すこともあるし、あるいは安いチケットを見つけたらとにかく確保し、後は着いた空港から足の向くまま、というパターンだったりもする。

私が一時期気に入って二度連続して利用したのが大韓航空のチューリヒ便でした。ソウル、バーレーン、ジェッダと各駅停車で時間がかかるのですが、ヨーロッパに朝到着すること、値段が安いこと、一瞬ですがアラブ情緒に浸れることなどが魅力的でありました。だからチューリヒは私にとって親しみを感じる町であり、特に2度目のヨーロッパで、足かけ3ヶ月に亘る長旅をこの町で始め、この町で終えたことはチューリヒを特別なものにしました。

思い入れが強い分、客観的にレポートしにくいのですが、チューリヒはスイス最大の町であり、立ち寄るだけの印象なら、ちょっときれいな商業都市というのが公平なところでしょうか。大聖堂など、さすがに宗教改革の本場だけあって質素というか、がらんとしているばかりで、イタリアあたりの過剰ともいえる装飾に見慣れていると、何を見ればいいのかととまどうほどです。(またこの教会の扉が自動ドアだったりして、がっかりさせるんだこれが)

ただまあ、チューリヒ湖に臨み、清潔な印象を与える町であるし、一応旧市街もあるしで、二度三度と訪問すればその良さも見えてくると思います。旧市街では、リマト川右岸(リマト川は湖から流れ出す川なので、つまりは東側)から一本入って川と平行に走るニーダードルフ通りがいい。小奇麗なウインドウが並ぶ上品な左岸と対称的にこちらは日が落ちてからの老若男女のざわめきが楽しい。本物のヨーロッパは裏町にあるというのが草創期「歩き方」の主張でありました。

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土曜の夜のニーダードルフ通り

 

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