五つの村
(データ : 2002年 4月)
◇アクセス 普通列車は五つの村全てに停まる。一駅3,4分ほど。日中は一時間に一本は便があり、時間を気にしないでいい点、楽だ。注意したいのは東端のリオマッジョーレで下車するケースで、ホームが短いためドアが一部車両しか開かない。チンクエテッレは日本人の姿は皆無であったが欧米には名が通っているらしく、列車は英語独語飛び交う混雑ぶりなので降り損ねないように。
出発地点 モンテロッソ
ヴェルナッツァ (対岸に見えるのがモンテロッソ)
コルリーニア(見えにくいが入り江を挟んだ奥がマナローラ)
ブドウ畑からマナローラを見る
お疲れ様でした(リオマッジョーレにて)
夕刻、屋根裏部屋(右写真の部屋)より対岸モンテロッサを見る |
◇理想的なハイキングルート こんな理想的なハイキングルートは他に無いのでは、といっても容易に感激して大げさな物言いをしてしまい勝ちな私のことですから、少しでも客観的にとその理由を箇条書きにしてみます。 1.まず、チンクエテッレとはイタリア語で「五つの村」の意で、海際の断崖に昔より交通の断絶した5つの村がほぼ等間隔に並ぶものです。ハイキングルートは、その立地、景観、習俗から世界遺産に登録されているこの五つの村をむすぶものであること。 2.コースが樹林帯に入ることが少なく、景観に恵まれている。大体、地中海を見ながら歩くので気分爽快。又、生活道路である点も魅力的。民家の軒先をかすめたりブドウ畑の中を抜けて行ったりする。 3.コースはよく整備されていて分かり易い。少なくとも片側は海なのだから方向を失う不安はない 4.大抵は一時間、ゆっくり行っても二時間もあれば次の村にいたる。のどが渇けばワインでもジェラートでも注文できるし、食事をとることだって出来る。各村には鉄道駅があり、疲れていたら途中棄権することもできる。 5.普通、ハイキングを終えた後、家に帰るまでが億劫だが、ここではビール飲みながら列車を待てば、数分〜十数分で宿をとった村に戻ることが出来る。 ◇ハイキングルートについて i のアドバイス コースは端から端まで5時間、危険ではないがハードである、しかし若い人(私のことです)なら大丈夫。 私のアドバイス 西側、つまりモンテロッソアルマーレからはいることを勧めます。理由は、ハイライトが前半にあって、途中退場しやすいことと、人生は旅に例えられますが、全コース歩き通した場合、逆にコースが人生に例えられて面白いと思うことからです。(次項) ◇コース案内 モンテロッソ〜ヴェルナッツァ(少年期) モンテロッソ駅の i で情報を仕入れ元気よく出発。ミネラルウォーターもその辺で入手します。岬を回るとモンテロッサの集落。これを抜けていよいよ山道に入る。朝の空気のなかで、地中海のグリーンが鮮やかです。かなりの数の欧米人ツーリストが歩いていて、よけないとすれ違えない狭い山道なので、ボンジョルノの挨拶と笑顔の連続です。一時間半と言われていましたが、気がつけば道はヴェルナッツァに向かって下っていました。一時間で到着。 ここヴェルナッツァがチンクエテッレの中で最も人気の高いところ。「歩き方」ではモンテロッサの宿泊を勧めていますが、リゾート地の俗化した感じのあるモンテロッサよりヴェルナッツァに泊まりたい。私はここに投宿、荷物から開放されました。 ヴェルナッツァ〜コルリーニア(青年期) 4つの行程のなかでは、この間がもっとも魅力的でしょう。the best of my life といった感じでしょうか。私は、空荷になった身軽さと、ヴェルナッツアで昼食をとり、白ワイン一本空けた気分の良さとで足が軽く、ホイホイ浮かれ気分で歩きました。道中、海を眺めていたり、絵葉書をかいたりしてゆっくり行ったので、時間はかかりましたが、気分的には、えっもう?という感じでコルリーニア入りしました。 コルリーニア〜マナローラ (中年期) コルリーニアを出る時、教会の鐘がなって午後4時を告げました。急に雲行きが怪しくなってきたので、マナローラへ急ぎます。ところがこの登りが行けども行けどもまだ登っていて、急ぐ時にはかなりつらい。息が切れても、雷鳴が2発轟いたとあっては休むわけにも行きません。不思議なのは、上の二つの区間であれほど大勢いたツーリストの姿が、ばったり途絶えたこと。彼らが天気を読む筈はないので恐らく皆が皆必見のヴぇルナッツアの前後でコースを組み立てているのでしょう。単純な連中めと毒づきつつ雨の落ちだした山道をひとり行く。ここからは、ブドウ畑の中をさまよったり、ブドウ畑の中にようやく見つけた石小屋で雨宿りしたりで試練の連続でした。結局1時間と言われていたのが、2時間かかり、へとへとになってマナローラに到着。こう書いていくとこのコースは敬遠されそうだが、一番印象が強いのがこのルートです。観光化されていない分、生活道路である感じがよく分かりました。第一、イタリアワインに詳しくなることは容易にできても、新芽吹き出すイタリアのブドウ畑のディテールを嫌というほど間近に見る機会はなかなかないのでは。 コルリーニア〜リオマッジョーレ(熟年期) これは海辺に人工的に作られた遊歩道(愛の小道などというフザケタ名前がつけられている)であり安楽。苦しかった来し方を思い浮かべながら充実感に浸りつつ歩きました。 ※「歩き方」ではリオマジョーレから歩き出すルートを紹介しているが、どうかと思う。又、「愛の小道」だけを歩くなら、わざわざチンクエテッレまで来る必要はないと思われる。 ◇ヴェルナッツアの宿について 一つ星のホテルが一軒。他にcamere(部屋=民宿)の看板がいくつかあり、泊まる場所がなくなることは無さそう。一つ星ホテルは港の広場の正面に立ち、部屋からの眺め良し(モンテロッソの夜景が見られる)。シングル55、屋根裏部屋なら45ユーロ。シニョーラの息子さん(14歳)は日本びいきで、トヨタの車と吉本ばななの小説に夢中なのだそうだ。
港の広場 正面建物の4階が一つ星ホテル (私が泊まった屋根裏部屋の窓が見えている) |