≪2005フランス≫

旅のスタイルと予算

(この項では、南欧、特にイタリアと比較します。)

 

イタリアの物価が上がったということなのだろうが、宿代、食事代などほぼイタリア並み。皆さんにご注意申し上げたいのは、この国は交通費が非常に高いこと。国土が広いこともあり、地方を周遊する場合、出費は大きいものとなる。

また、この国の特徴として、パリとパリ以外の物価の差が大きい。

 

 

[宿泊費]

パリ:かつて皆が目指したカルチェラタンの安宿街。この地域のホテル価格は上昇してしまったというのが事前情報であった。実際に歩いてみても、ホテルは多数見つかるものの三ツ星の表示が目立つ。日本からインターネット予約したHOTEL EXCELSIOR(一ツ星)はようやく見つけた一万円内の宿であったが、それでもシャワー、トイレ共同、朝食無しで58ユーロ。我がHOTEL GAY LUSSAC(星なし)は、シャワー、トイレ共同、朝食付きで50ユーロであった。シングルルームはこの辺が相場と思われる。

 

パリ以外:シャワー、トイレ共同で20ユーロ台、シャワー、トイレがつくと30ユーロ台から。

 

イタリアに比べて合理性を感じるのはホテルのクラスや部屋のタイプの(つまりは価格帯の)幅広さ。同じ内容ならばイタリアの方が(交渉次第ということもあって)安いが、イタリアの地方都市は三ツ星ばかりが目につき、一定の快適さは得られるものの40ユーロぐらいは見込まないといけない。

ところがフランスでは同じ町に200ユーロの宿もあれば20ユーロの宿もある。ありがたいことに部屋のタイプ(トイレ有無、シャワー有無など)ごとの料金表が入り口に掲示されていて、無駄なやりとりを省くことが出来る。その代わり価格は定価の性格が強いようだ。今回、宿や主人の雰囲気からいけそうだなと感じ、はっきり値引きを打診したのは一度だけ。このときは主人が“For you.”とか言いながら端数の7ユーロを引いてくれたが、他では初めからあきらめた。

また以前とは変っていたのが、朝食料金は別建てであること。料金は料金表の下の方に表示されている。80年代は朝食込みが通常で、カフェオレにクロワッサンの朝食はフランスらしくていいなと思ったものでした。しかし考えてみれば別建てのほうが選択できる分、合理的。今回のフランス行きでカフェオレを飲んだのはパリを発つ日の朝食一度きりでした。

 

トイレ、シャワーの無い部屋というのは初め抵抗を感じるかもしれないが、しょっちゅう使うものではないからそれを当たり前と思えばどうと言うことはない。トイレは普通同じフロアに一つある。シャワー室もホテル内のどこかにある。欧米人と行動パターンが違うせいか(彼らは深夜帰館、朝はずっと寝ている)先客があって使えなかったという経験は殆ど無い。一回使うだけのシャワーに10ユーロ払うぐらいなら、その分浮かせて美味しいものを食べる方を選びますね、私ならば。

 

 

 

[食事代]

レストラン:私がメニューのフランス語が読めないとか、食事のシステムが分からないとかいうこともあって、南欧より少し入りにくかった。また、南欧(伊、西、ポ)はたいていどこでもおいしくて、特にスペインなど、昼飯時に裏町を歩いているといいにおいが流れてきてそのまま自然と店に入ってしまう、という感じだが、これら3国に比べるとフランスは当たり外れがある、というか当たりであるには幸運の助けが要るように思われた。

 

上記はもちろん食堂クラスの店の話である。高級レストランに入れば、世界に冠たるフランス料理の真髄が・・・なのでしょうが、私には無縁。食堂クラスの店で美味しいところを見つけるには、地元の人で混みあっているかいるかどうかがポイントですが、そういう場合他所者としてはなんとなく入るのがためらわれたりして悩ましいところです。但し料金的にはイタリアが20ユーロ強であるのに対し、フランスでは20ユーロ内で収まることが多かった。(それでも3千円近くかかっているのですが)

尚、パリは質が落ち、かつ料金も高い。特にテーブルワインの値段はひどく高い。(もちろん日本とは比べものにはならないけれども、南欧なら水並みという先入感があったもので)こういうことは仕方ない。イタリアでもヴェネツイアやローマの観光客相手の店はいい加減なことをやっている。パリならずとも首都はそういうもので、こちらが賢くなって対応すればいいのである。

 

その他の食べ物物価:

安く済ませようと思ったらスタンドでバゲットのサンドイッチかパニー二。3〜5ユーロ。一個で満腹になるし、美味しいので重宝する。

ブラッセリーで一品料理の昼食というのもやってみたが、ワインも飲むので、結局は十数ユーロ。

個人商店での買い物は、南欧のようにハムやチーズの塊をどーんと置いて好きな量切ってもらうというパターンは少なく、ワインや缶詰、パック入りのハムなど買って10ユーロ位。大きな町だとスーパーがあり、値段も安い。ワインは一本2ユーロ位から。安いものでも結構美味しい。

 

[交通費]

パリに滞在する分には関係ないが、日本に比べてもかなり高いのではないかと思うのがこれ。今回最初に買った長距離切符は、パリ⇒アヴァロンであったが、料金の37ユーロというのは、最初は何かの間違いかと思った。今調べてみるとこの間の距離は約230km。イタリア国鉄と比較すると、私が去年購入したマントヴァ⇒ペーザロが、約240kmで一番近いが、これが11ユーロ。ヨーロッパの鉄道料金は一般的にリーズナブルであり、異常値はイタリアではなくフランスの方である。たかだか230kmでこの出費では、フランス一周などやってられない。

 

この傾向は地方のバスにおいても同様であった。結局10日間の交通費総額は去年のイタリア82ユーロに対して、今回は334ユーロ。邦貨にして5万円近い。この金額ならば、地方周遊を考える場合、フランスレイルパスを購入してしまった方が良いと思う。ユーレイルパスに比べて単独のパスは相当乗らないと見合わず、普通購入のメリットはないとされるが、5万円ならペイしている。鉄道パスは金銭的な面の他に、その時の気分で自由に予定を変えられる、夜行列車が利用しやすい(時間調整の為にいったん目的地と逆の方向に行くなど)、駅の切符売場の行列に並ぶ必要が無いなど旅の自由度を増す魅力が大きい。

 

私は今回は本当に懲りました。次回は必ずフランスレイルパスを購入します。(以上はパリに滞在する人や、ブルターニュ往復ぐらいの人には関係の無い話です、念の為。)

 

[予算]

パリ: 宿泊50、食費20(レストランなし)、観光費用・メトロ代等20  計90ユーロ

 

パリ以外 :宿泊35、食費30(レストラン一回)、雑費5  計70ユーロ +交通費 

 

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