≪2005フランス≫

テーマ、ルート、SNCF

@どこに行くか 「旅のイメージ」

私は計画をたてて旅をするということをしない。行ってみないと分からないことが多すぎるから、そんなことはできないのである。しかし、ここに行きたいとか、これを見たいといった、候補地、ルート、テーマの如きもののイメージはいつも持つようにしている。それは旅への動機でもある。

 

今回のフランス行きのイメージは次のようなものであった。

1)フランス国内をパリを起点、終点にして時計回りに移動する。途中パリに戻らない。

フランスは中央集権国家としての歴史を持ち、鉄道網にしてもパリ中心。こういう場合、田舎の良さ、ローカル線の魅力が残されている、と思われた。

2)ロマネスクの教会を見る

南フランスというとどうもロマネスクを避けて通れないようである。ゴシックとロマネスクの違いを納得しようと思い、ロマネスクのガイドブックを一冊購入、持参した。

3)サンチャゴの道の起点をみる

終点のサンチャゴ・デ・コンポステーラを始めスペイン国内の結節点はいくつか訪れている。フランス国内の起点、結節点を見るのは積年の希望

4)鈴木成高氏(『中世の町‐風景‐』)の足跡を辿る

5)ブルターニュ、ノルマンディー訪問(特にモン・サン・ミシェルを見る)

  4)、5)も積年の希望

 

こうして旅は始まった訳ですが、2、3日もしないうちに、1)がとても難しいことに気付きました。この項はこのことを伝える為に起こしたものです。しわ寄せは5)に表れ、結局モン・サン・ミシェルはまたもや遠かったのでした。

 

Aルート作りの注意点

勘が鈍っていたなと感じたのは、フランスのサイズを見誤ったこと。このところイタリア行きが続いていたので、つい同じような感覚でいたが、フランスは広かった。

地方から地方へと渡り歩くのは魅力的だが、ロスが大きい。効率を考えるなら、パリ起点の「直列つなぎ」(例えばブルゴーニュ‐プロバンスの組み合わせ)が無難。方向の異なる地域を組み合わせる場合もいったんパリに戻る方が楽である。考えてみればユーレイルパスを握って、ヨーロッパ大陸を周遊する場合も何回かパリは出たりはいったりしていた訳で、フランス国内であってもそのミニチュアバージョンと考えるのは仕方ないのかも知れない。

広さを克服する有効な手段は夜行列車をうまく利用することである。私は、旅行の最終日に向けてパリに近付いていったがこれは失敗であった。最後の地はカオールであったが、夜行列車に乗るには近すぎた。(充分睡眠を取れないだけでなく、深夜まで駅周辺で時間をつぶすのが面倒)

 

BSNCF(フランス国鉄)

伝統的にコンパートメント形式が主流のヨーロッパ大陸にあって、コラーユと呼ばれる、明るく、洗練されたデザインの車両にさすがはフランスと感心させられたものでした。久しぶりにSNCFを利用してみてもその印象は変りません(例えば駅の構内放送のジングルのかっこよさは、イギリスで流したら冗談になってしまうぐらい)でしたが、なにしろ使い勝手が悪い!

 

その理由は

1)ダイヤがパリ中心の編成になっていること

とに角、ダイヤも情報もパリとの行き来中心で、ローカル線との格差が大きすぎる。もしCOOKがお手元にあるなら、南東部のリヨンから、南西部のボルドーまでの移動を調べてみてください。パリ経由ならば、朝一番のTGVに乗れば、昼前にはボルドーに着いていますが、直線的に進む(リモージュ経由)なら一日仕事。まして南仏経由でローカル線を乗り継いで、となるともう暇人の業です。

 

2)TGV中心のダイヤ編成であること

日本でも新幹線が通ると、急行や鈍行の運行本数が大幅に削減され、ぶらり旅派を嘆かせたものですが、フランスにおいても似た状況。長距離を一気に移動するには便利なのだが、少しずつ動く時に不便。ローカルバスもTGVの到着に合わせて発着するケースがあった。さらに私を悩ませたのが、TGV専用線と在来線との位置関係。例えば、TGVモータバン駅が、在来線に乗り継げるかどうか解らなくて利用を見送りました。

 

3)時刻表の掲示方法が違うこと

ヨーロッパの鉄道駅は黄色でその駅から出発する列車の時刻を、白色でその駅へ到着する列車の時刻を一覧的に示すというのが統一ルールと思っていたが、フランスの地方都市の鉄道駅においてこれは通じないようであった。その代わり、路線別の時刻表の小冊子(オレール)が備わっており、旅客は自由にこれをとることが出来る。明日の列車の時刻を書き写す手間が省ける反面、その駅に着かない限りその先の予定が立てられないという不便さがあった。

 

さて、対策としては、@フランス語をしゃべれるようにしてから出かけること、がまず考えられる。上記の不便さは外国人にとっての不便さであり、コミュニケーションが取れるなら、駅窓口で尋ねれば解決する類のことである。しかし@は普通無理だとすると、現実的対策として、ACOOKの最新刊を持参する、ということを是非お勧めしたい。ヨーロッパの鉄道時刻はそうしょっちゅう変わるものではないし、重要なのは、行けるか行けないか、所要時間などアウトラインをつかむことで、個々の列車の時刻はいずれにせよ駅で確認することになる。従ってCOOKはいちいち買い換えたりしない。今回も2002年夏版を持参しましたが、これが失敗。現地での情報がわかりにくい分、信頼できるデータが必要でありました。さらにこれは運次第だが、B地域全体のオレールをどこかで入手する。私は、フィジャックのでフランス中南部のオレールを入手しました。これは大変便利で、最初からこれがあればと思ったことでした。

 

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