港町 マルセイユ

(データ:1982年8月)

 

◇旅の技術について

マルセイユは怖いと聞いていたので、ジュネーブからの夜行列車で早朝マルセイユ入り。お腹がすいていて、カフェに入ってクロワッサンを注文。出てきたものを全部食べ、いざ勘定となって案外高い。戸惑う私の表情を見て近くの席の学生が声をかけてきた。そうか、君はフランスは初めてか、という話しになり、この国ではカフェで食べると高くつくこと、その他あれこれ教えてくれた。こうして一つずつ覚えていくのである。思わぬ出費は痛かったが、人の親切は嬉しく、彼が発音指導してくれた「オールボワ」(さようなら)で、気分良く歩き出しました。

◇港町マルセイユ

「フランスのこと、パリのこと」で書いた如く私にはこの街も完全にイメージ先行型。マルセイユといえば、古くは欧州への道、「フランスへいきたし・・・」のマルセイユである。マルセイユといえば、ジャンギャバンが佇み、マルセイユといえばブイヤベース。私はこの町で始めて地中海を見、その濃い青色の鮮烈に感動しました。

尚、港町であるからには相応の治安の悪さがあるようです。

 

◇ゲルマンとラテン

マルセイユは私にとって、初のフランス体験、初のラテン体験でした。それまで一ヶ月余りゲルマン系ヨーロッパを旅してきて、例えば人が公園の木陰で読書をしたり、昼寝をしたり、ゆったりした時間の流れる世界に慣れていたので、ざわざわした、がさつな感じに慣れるのに時間がかかりました。夜行列車に乗れば、コンパートメントに平気でどやどや押し入ってくるし、ベンチに腰掛けていると黒人の物売りが両腕に時計やスカーフなど沢山ぶら下げて近づいて来るのも初めは怖く感じられたことでした。

 

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