グラスゴーへ(西側ルート)

(データ:1986年12月)

Glencoe

一定の高さ以上は、粉砂糖を振ったような雪に被われる

山の下の一軒家

どんな暮らしであろうか

白い月世界

ローモンド湖

グラスゴーのワンシーン

◇スコットランド脱出記

情報その一は、スコットランドで注意しなければいけないことは、休日には、正しくいろいろなものが休みになるということだ。それがお店ぐらいのことであればどうにでもなるが、交通機関となるとそう簡単にはいかない。

1986年の大晦日の朝を私は、北の果て、スカイ島のポートリーで迎えた。元日は、スコットランドの列車は全面的に運休するので、この日のうちに列車の動くイングランドにたどり着きたかった。ArmadaleMallaig経由のスカイ島縦断ルートが魅力的だったが、すでにダイヤは変っていてそのバスは現れず、i のアドバイスは、丁度来るFort William経由Glasgow行きバスが唯一の可能性。

午後1時半Ft.William着。イギリス最高峰ネビス山のふもとに位置する居心地の良さそうな町だ。直ちに鉄道駅に走るが、ロンドン行きの夜行列車は運休だよとつれない。明日が休みだとしても、この列車は今日中にスコットランドから出てしまうのだからと一抹の望みを抱いていたが、駄目であった。

バス旅を続け、Glasgowに着いたのは、日の極端に短い冬のスコットランドのことであるから、すっかり暗くなった午後5時。鉄道駅に行ってみても結果は空しく、唯一の収穫は明後日のロンドン行きの一番列車の時間を確認したことであった。

 

◇望外の収穫、西側ルート

情報その二は、図らずも通ってきたこのルートの景観の素晴しさ。Ft.Williamを過ぎてすぐにさしかかるGlencoeの絶景は氷河が作った芸術作品である。特に高度の高いところでは、月世界の様な奇観が繰り広げられており、信じ難い思いで眺めていた。

さらに南下して現れるローモンド湖も素晴しい。グレンコーの激しさに対して、こちらは静寂そのもの。夕闇迫っていて、湖畔にポツンと建つ、ホテルと思われる建物からもれ来る灯りに、懐かしいような寂しいようなセンチメンタルな気分にさせられた。

 

尚、lochは、glenと共に旅行者が覚えるスコットランド語。Loch Ness(ネス湖)、Loch Roland(ローランド湖)など。glenは谷で、グレンフィディック、グレンリヴェットなどスコッチにグレンが付く銘柄が多いのは、蒸留所が谷間に位置するからだそうだ。それにしても湖と谷とは、いかにもスコットランドらしい話。

 

◇グラスゴーのこと

高校の地理で、主産業は造船業と習った産業都市である。スコットランドからの脱出を急いだのは、留め置かれるのが一日でなく、ここに2泊しなければいけないからであった。正月はすることも無く、人通りも無く、冷たい雨の降り続くこの町に居た。

旅先の光景が、偶然聞こえてきた音楽と結びついて、光景も音楽も忘れられないものになるという経験をそれまで何度かしていて、実は、今回のスコットランド行ではそれを人工的に作り出すことを企んでいだ。選んだのは、DREAM  ACADEMY の名曲 LIFE IN THE NORTHERN TOWN。冬のスコットランドにぴったりで、我ながら絶妙の選曲と悦に入っていたのだが、いざテープを取り出してみると、そこに入っていたのは何の手違いか、ブルーススプリングスティーンのBORN TO RUN。これには参ったが、仕方なく、正月一日この曲を聞き続けていたら、意図そのものは間違って無くて、このアルバムを聴くと今でも、クライド川にかかる巨大な橋の下のベンチで雨宿りしていた時の情景や気分が蘇る。

 

情報その三は、グラスゴーとエディンバラは近いということ。

このケースでは、エディンバラに移動するべきであった。東海岸、西海岸の先入観念から盲点に入っていたのだが、国土のくびれた位置での東西であり、意外に近く、又便数も多い。どうせ2泊するならエディンバラであったと、宿を決めた後、バスターミナルの賑いを見て気付いても後の祭りであった。

 

 

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