リヴァプール ⇒ ベルファスト 夜行フェリー乗船記

(データ:2017年5月)

 

空路で入るのが一般的なのか「歩き方」(アイルランド編)を見ても、フェリーによる移動については、詳細な記載がない。

⇔港の移動方法や、船内がどんな様子かなど情報が少なく、

もう一つ状況が良く分からず判断に困ることがあったので、ここに私のケースを記録しておく次第。

 

◇ルートの選択

 

 イギリスーアイルランド間の航路は複数ある。イギリス側の主要な起点は、中西部のホリーヘッドやリヴァプールなどで、他にスコットランドにも港がある。

このうちホリーヘッドーダブリン間は、他に比べて各段に所要時間が短く(2、3時間で両港を結ぶ)、最有力の選択肢。加えて、鉄道の便もよく、少し手前にはConwyという前泊するのに良さそうな町がある。

 

 イギリス周遊中にアイルランドに渡るなら、ウエールズならウエールズ、スコットランドならスコットランドの都合の良い航路を選べば良いが、ロンドンから向かう場合、発着港までの移動も考慮に入れる必要がある。今回の私の場合、ロンドン発ホリーヘッド行きの列車のチケットの事前予約を検討中、ある時点でいきなり値段が3倍に跳ね上がる。前の料金を見ているだけに、これを選択する気にはなれず、急遽リヴァプール⇒ベルファスト便にルート変更したのでした。

 

 なお費用だけで言えば、コーチ(長距離バス)がベスト。はっきり覚えていないが、調べた中ではロンドン発コーク行など、鉄道でいく場合の10分の1程度の料金であることに驚かされた。勿論時間はかかるし、面倒なこともありそうで、そういうことを楽しむことができる人向き。

 

◇基本情報

リヴァプール(バーケンヘッド港) 2017年5月23日22:30発  ベルファスト  翌日6:30着

料金 35ユーロ ・・・昼の便は24ユーロで済むが、夜行便と同じ8時間を要し、丸一日潰れるので選びにくい。

 

◇乗船記1 リヴァプール・バーケンヘッド港へ

 ベイエリアの入り口にあるジェームズ・ストリート駅からひと駅、マージー河をくぐった対岸ハミルトン・スクエア駅で下車。バーゲンヘッド港への乗り継ぎバスに乗ることになる。これは恐らくフェリーの発着に合わせた時間しか運行していないと思う。スムーズに移動するなら、接続を調べておいた方がいい。

 私は、何も考えずにハミルトン・スクエアで下車。リヴァプール中心部の対岸だから、それなりの町だろうと思ったのが大間違い。バスは2時間先と言われ、駅員に道を尋ねて、港へと歩きだした。ところが周辺は居住区域ではなく、分かれ道に来ても道を尋ねる相手がいない。港まで2kmほど。なかなか苦労させられました。

 また、一晩過ごす間の食料や飲み物は、港やフェリーターミナルで買えばいいやの積りだったが、港には売店もなければパブやカフェの類も無い。フェリー内には食堂がありますが、事前に用意するならリヴァプール中心部で調達を。

 

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STENA LINE社のフェリー

想像していたよりは立派な船で安心した

 

◇乗船記2 乗船

 出港時刻の3時間前にチェックイン・カウンターが開く。手続きして待つと1時間ほどして案内があり、出発ラウンジに移動。その際、警察官によるパスポートチェック、質疑応答があった(マンチェスターテロの翌日であったためかもしれない)。

 小一時間待たされた後、一同バスに乗り込み、フェリーへと移動する(上の写真はその際、車中から撮ったもの)。バスごと、船腹に入る。

 バスを降りて、船内のエレベーターを上がり、居住フロアへ。受付カウンターがあり、人々が列を作る。これは、船室などを予約した人たちのレセプションなので合った。基本料金を払ったのみの私には、ベッドはなく、どう夜を過ごしたらいいのか分からないままに、奥へと進んでいくと、カフェやレストランなどがあって行き止まり。

 印象に残ったのは、スタッフが大勢いて、非常にレンドリーでホスピタリティ豊かな応対であること(これはどの場所でも、男性スタッフであっても女性スタッフであっても、翌朝になっても全く変わらなかった)。私が居場所に困っていると、女性係員がにこやかに「如何いたしました?」と尋ねてくる。私はどこにいれば良いのでしょうと言うと、輝くような笑顔で“anywhere!”との回答。しかし、それ以上のサジェスチョンはなく、anywhereというのはnowhereということなのだな、という禅問答的なことを実感を伴って理解できた。

 

◇乗船記3 眠る

 レストランで、フィッシュ&チップスとギネスの夕食を取れば、12時近い。他に行くあてもなく、食べた席で眠ることにする。後から思えば良くできていて、席は椅子でなく、ゆるやかに蛇行する長いソファーなのであった。ベッドを取らない乗客は意外にも少数派のようで、0時を回ると客は激減。靴も靴下も脱いで、ソファーに横になる。目をつぶってしまえば同じで、高い料金を払って客室などとる必要のない、極めて快適なベッドなのであった。レストランはそれなりの広さがあるが、横になって寝ているのは数名程度と気楽なもの。(もっとも夏場は、学生らで混み合うのだろう)

 もう一つ気にしていたのは、船酔い、船が揺れないかということ。これに関しては、この時は全く問題なし。実際、横になっているとき、自分が海の上にいるということを忘れてしまうくらいであった。

 ベルファスト港が近づいてくると、アナウンスが流れ、朝食をとりに人が次々に入って来る。私も、寝ていた場所で縦になり朝食をとる。一晩過ごす間、煙草を喫いにデッキに出たり、他の場所を見物しに行ったりしたが、荷物の一切は置いていって問題無い感じであった。イギリス/アイルランドは治安が良く、船内でのこの感覚はほぼ日本と同じ。(イタリアやスペインでこれをやると、何回目かで何かがなくなるだろう)

 

◇乗船記4 下船/ベルファスト市内へ

   アナウンスに従い、乗船したときのバスに戻る。どういう訳か、バスに乗る人の数は乗船したときより半減していた。

バスは、少し走っただけで、小さなターミナル建物で皆を下ろす。建物の入り口ではタクシー屋が待ち構えているが、これを無視して進み、少し歩くとぶつかる表通りにバス停があり、数名の乗客と共にバスを待つ。その中に「靴紐が解けてますよ」と教えてくれた親切なアイルランド人女性がいて、この人によると、タクシーの運転手は殆ど問題無いのだが、ここで待ち構えている人たちの言うことを聞いてはいけないとのこと。

こちらも恐らく、フェリーの到着時刻に合わせて運行しているのだろう、少し待ったが、やがてバスが来た。ベルファスト中心部まで、2,30分くらいであったか。

  

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