小島の上の旧市街 トロギール

 

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「海の門」を出た対岸から旧市街を見る

 

◇町の造り

 

 世界遺産であれど、本当に小さな町である。バスターミナルを出ると、すぐに運河を渡る橋があり、これを渡れば旧市街の入り口、北門(陸の門)。くぐった先を左に向かうと、歴史的な建物に囲まれたイヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場。カフェのテーブルが並び、大勢の観光客がいる。その先を進むと、あっけないほどすぐに南門(海の門)に至る。この道筋の左側に狭い中世的な路地が迷路状に広がっている。

 

 この町は車の乗り入れを禁じているようである(どちらにしても旧市街の細い道は走行不能)。海の門を出ると、何隻もの大小フェリーボートが二重三重に停泊する海岸通りで、露店が並ぶ。歩行者天国状態で、多くの観光客がそぞろ歩き、開放的な空気で気持ちも軽くなる。

 

 

◇聖ロヴロ教会の塔

 

 登り口のところに、「自己責任で云々・・・」という但し書きがあった。確かに足がすくむような箇所があり、高所恐怖症の人は怖いかもしれません。一番上に辿り着くと、イヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場を眼下にし、旧市街全景を見渡します。

 

教会の塔にしろ、要塞にしろ、元々は観光客の為に用意された建物では無い訳で、似たような表記はクロアチアの他の町でも何度か見ました。

 

 

◇カメルレンゴの砦

 

 島の南西端に立つ砦。といっても、小さな島のことで、海の門からでも徒歩5分くらい。東側旧市街の眺め、また海岸通りの眺めも良いが、北側、サッカー場を隔てて島の西北にある聖マルコの塔と対峙する。

 

 カメルレンゴが海の守りとすれば、聖マルコは陸の守りなのだろう。往時の戦いの厳しい情勢が想像される。また、「カメルレンゴ」はバチカンの役職か何かの名前、聖マルコと言えば、これは勿論ヴェネツィアの守護聖人。かつての地中海の覇者ヴェネツィアの影響が露骨に見てとれる。右の写真も、イタリアの中世都市の写真と言われれば、私なら何の疑いもいだかずそう思ってしまいます。

 

 歴史への思いから現代に立ち返ってみると、眼下のサッカー場では、少年チームが練習をしているのでした。

 

小島といっても、北側の本土とも、南側の島とも、隔てるのは狭い水路で、島という感じはしない。しかし、この小さな島の東側半分、300メートル四方程度のエリアに、地中海型の見事な中世都市が残っている。

 

 

◇アクセス(その1)

 

 スプリットから、バスで30分。頻発。

 

 

◇アクセス(その2、提案)

 

 飛行機での移動は、空港から町に出るのに時間も料金もかかるのが難。(ましてや、日本を午前に出発するヨーロッパ便で地方都市に向かう場合、中心都市で乗り継いで、現地着が夜更けの時間になるのが常に悩みの種)

 

ところが、この町はスプリット空港から2kmの位置にある。スプリット空港への航空券を入手することがあれば、スプリットに向かわず、トロギールに移動することをお勧めします。(逆も同様)

 

スプリットに行く空港バスの発車を見送り、空港前の海岸通りに出て、バス停で待っていると、程なくトロギールに行くバスがきました。(行先はどこであれ、次に停まる町はトロギールである筈です。日のある時間帯なら、声を掛けてくるタクシー屋は無視して問題ありません)

 

 

◇宿について

 

 旧市街の中にsobe(民宿)のサイン多数。上の推奨は、この町の素晴らしさに加え、宿泊環境が良いこと。やかましい大都市が苦手な人は、スプリットに泊まるより、トロギールを拠点に近隣の町を回る方が良さそうです。

 

 私は宿泊したのも、旧市街のただ中にあるRooms Roso。バストイレ付きのシングルルームが20€(150KN)。部屋は清潔でロケーションも最高、オーナー夫妻は親切で申し分ない。屋上テラス(オーナー家族の居室が一角にある)に上がるのは、聖ロヴロ教会の塔を始め、旧市街の家並みを間近に見る、贅沢な時間でした。

 

 

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トロギール旧市街

 

 

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