入出国

(1989年アルジェリア)

◇アルジェリアへの道

このHPは、私の実体験を書いている積りなのですが、古いことは記憶が薄れているので、実際には当時の旅日記にかなり助けられています。そこには旅人ならではの断片的情報による勘違いや思い込みが含まれているわけで、項目を起こす際、あまりひどい間違いをしないよう、また時間の経過による変化を知るべく、本屋に行っては「歩き方」最新刊を立ち読みすることにしています。それで今回知ったことは、「歩き方」アルジェリア編が刊行されていないという事実。かつては勿論存在した訳でこれには驚きました。(ウガンダ編やらリビア編まで出ているのにですよ)

私がアルジェリアに出かけたのが20年前。その後イスラム原理主義の台頭から酷い内乱状態に陥りましたが、まだその影響が残っているようです。検索してみると旅行記など少数ながら出てくるので全く行けない訳ではないようですが、ウィキペディアに観光は徐々に回復しているものの全盛期までには至っていないとあり、また外務省の海外渡航者安全ページを見ても未だにテロは起きているようで、出かけるには十分な情報収集と覚悟が要りそうです。(という訳で以下は全て20年前の話ですが、ヨーロッパの国とは勝手が違うよという所をくみ取り下さい)

 

◇ビザ取得

所定の用紙にカーボンを挟んでタイプすることが求められていたと思う。また所定の用紙とは別に旅程表(英文)を提出する必要があり、A4一枚程度の英作文が面倒であった。苦労しただけに、後日ビザを入手した時は嬉しかったですね。(現在でも基本的には変わっていないようでやはり面倒そうである)

 

◇入国審査

空路による入国審査は、ヨーロッパでは赤や黒の日本のパスポートを見せるだけでほぼフリーパスであったのが、ここでは次から次へと質問が来る。フランス語であり、全然わからないから何を聞かれても、オテル・アレッティ(アルジェの名門ホテル)、トゥ―リスモ、アルジェの3単語を繰り返すしかなく、向こうも困っている。旅日記には、係員の言葉の中にアフリカという単語を聞いてピンときて、「シンコ・ジュール・ゼン・ヨーロッパ」と飛行機で飛んでいく身振りをしたらようやく通してくれたとあるが、今見ればこのセリフ、英、仏、西語混合の滅茶苦茶。とにかく思いつくもの片端から並べて何とかなるのを待ちます。

 

 

◇航空券あれこれ

私の場合は、モスクワ乗り換えのアエロフロート便でした。行きがアルジェ(ブダペスト経由)、帰りがフランクフルトのオープンジョ―。アルジェ→フランクフルトはルフトハンザ航空でカバー。席を取りにくく、複数のルートにリクエストをかけ、確定は出発の3日前であった。旅行会社の最終案内には手書きで次の記述があります。

 

「アルジェ→フランクフルトのルフトハンザ航空券は、アルジェ空港到着時もしくは出発時に空港内のルフトハンザカウンターにてお求めください」

⇒ どうして日本で購入できないのか不明。アルジェ空港でLHのオフィスに行くと、法律の規定で、出国費用は外貨では払えないと難しそうな事を言われる。小額の両替を済ませていたが、もう一度両替所に引き返す。何か書類を書いてもらう必要があるとかで、私はフランス語がしゃべれないから、LHのおじさんに言うべき言葉を紙に書いてもらって無事手続き完了。

 

「ご帰国便のリコンファームは、アルジェの空港到着時にアエロフロートカウンターにてお願いします」

⇒ 空港の事務所でリコンファームは難しいのではないかと思っていたが、案の定オフィスは閉まっている。待っているとやがて太ったロシア人が現れたが、差し出すチケットを見て、ここにOKと書いてあるじゃないかと取り合ってくれない。その後、言葉の通じない中探し当てたアルジェ市内のSUの事務所は移転していて関係のない人たちが居たり、フランクフルトの支店に国際電話をかけようとしてうまくいかなかったりなどとじたばたした挙句、到着の2日後になってアルジェの町外れの住宅地にあるSU事務所にたどり着いて、ようやくリコンファーム完了。

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この看板を見つけた時は嬉しかった  AEROFLOT ALGERBUDAPESTMOSCOWとある

 

 

◇通貨管理

東欧のような強制両替の制度はなかったが、通貨管理は厳しく、アルジェリア国内に持ち込む外貨は入国時に全て申告、両替記録証を作成する。両替する都度記録証の提出を求められる。この記録証は、アルジェリア出国に際し、手荷物検査のとき提出させられた。

使いきれずに残ったアルジェリアディナール(DA)は、空港の免税店で何か買って、使い切るつもりだったが、その価格表示は全てフランスフラン。近くにいたフランス人にここではDAは使えないのかと尋ねると、「君はDAを持っているのか」と何やら雲行きが怪しい。旅行者が使い残す小銭を持ち帰るなんて誰でもすることじゃないかと思ったが、当たり前が当たり前でない場合もあるかもしれないので、慌てて誤魔化したのでありました。

 

◇寄ってくる人はいない

この国では、モロッコやエジプトで悩まされた「自称ガイド」や物売りのたぐいが寄ってくることがなく、この点だけは楽をしました。そもそも観光客の絶対数が圧倒的に少ないので、そういう商売が成り立たないのでしょうね。

 

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